古賀稔宏の作曲ノート ← サイトへ戻る

無料配布|90秒スターターキット

最初の90秒を書き出すための、無料DTMキット

コード・ドラム・ジャンル別のパターンを、DAWに読み込むだけのMIDI 11本にまとめました。PDF 5枚(構成シート/ドラムのノリ早見表/7日チェック表/音が出ないときの3分診断/ミキサーの用語早見表)付き。メールアドレスだけで受け取れます。このページの後半には、音出しからフルコーラスまでの6工程を全文公開しています。

無料配布

楽器が弾けなくても、今日から90秒の歌ものを作り始められる

登録するとすぐにメールが届きます。今日やることは1つだけ、コードのMIDIを読み込んでループ再生する。それで曲の「床」ができます。

受け取った後の最初の3日

  • 今日(5分)コードのMIDIを読み込んでループ再生する
  • 明日(10分)その上に8ビートのMIDIを重ねる。もう曲に聞こえます
  • 3日目(15分)90秒テンプレートを開いて、場面の位置を決める

フルコーラスまでは、この先の話です。このキットで用意してあるのは「90秒の下地ができるところまで」。 そこから先はこのページの6工程で進めてください。

配信停止はメールへの返信1通でできます。アドレスを第三者へ渡すことはありません。

キットの全ファイルを見る(MIDI 11本・PDF 5枚)
  • song-90sec-template.mid90秒ワンコーラスの下地。イントロ/Aメロ/Bメロ/サビ/終わりの場面マーカーと、薄いコードガイドが入っています
  • chord-loop-c-am-dm-g.midC・Am・Dm・G の4小節ループ。曲の「床」になる部分です
  • drums-8beat-just / laidback / swing.mid同じ8ビートで、タイミングとベロシティだけを変えた3種類
  • drums-8beat-abacabad.mid8小節を A・B・A・C・A・B・A・D で組んだ展開形。1小節の繰り返しから抜けるための型
  • genre-uk-garage-2step.midBPM130。UKガラージの2ステップ+16分の跳ね。記事で聴き比べたパターンそのもの
  • genre-techno-lean.midBPM132。音数を絞ってキックを立たせたテクノの形
  • genre-house-openhat.midBPM124。裏拍にオープンハットを置いたハウスの形
  • genre-dnb-twostep.midBPM174。K1→S2→K3の裏→S4 のドラムンベース
  • genre-trap-rolls.midBPM140。16分+3連ロールのトラップ
  • 90秒ワンコーラス構成シート.pdf時間配分と、書き出す前のチェック6項目
  • ドラムのノリ早見表.pdf3ファイルの違いを「何tick・ベロシティいくつ」で並べた表
  • 最初の7日チェック表.pdf1日1つだけやる進め方。7日目に音声ファイルが1つ完成します
  • 音が出ないときの3分診断シート.pdf音の通り道を上流から切り分ける手順。鍵盤→音源→トラック→マスター→再生デバイス→ヘッドホン
  • ミキサーの用語早見表.pdfゲイン・フェーダー・パンが何をするつまみか、最初はどこに置くか

全部で17ファイル(MIDI 11・PDF 5・はじめにお読みください 1)・約900KB。メールに添付してお送りします。 DAWはCubaseを想定していますが、MIDIファイルなのでどのDAWでも読み込めます。

同梱のMIDIを土台にすると、ここまで作れます

コードとドラムがキット同梱のMIDIそのものです。そこへベースとメロディを足した状態を鳴らしています (ベースとメロディのMIDIは同梱していません。土台の上に自分で置く部分です)。 追加の音源も、有料のプラグインも使っていません。

古賀稔宏のプロフィール写真

作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。この地図は、初心者が実際に止まる場所を制作工程に沿って整理したものです。

使い方 1

上から順に進める。前の工程が動いてから次へ行くと、迷いにくい。

使い方 2

詰まったら、下の「逆引き表」で戻る工程を探す。全部やり直さない。

使い方 3

各工程の「もっと詳しく」から、その場面の記事へ飛べる。

↓ 押すとその工程の詳しい解説へ移動します

STEP 01

音出し ── まず「鳴る・録れる・書き出せる」を作る

ゴール:DAWを開いて短い音を1つ鳴らし、保存して、書き出せる状態にする。ここが動けば、あとは曲作りに集中できます。

最初の関門は、作曲そのものよりも「環境が動くか」です。ここでつまずくと、曲を作る前に気持ちが折れてしまいます。だからこの工程のゴールは、名曲を作ることではなく、自分のパソコンから音が出る体験を作ることに絞ります。

よくあるつまずき

  • DAW(作曲ソフト)をどれにするか比較で止まり、最初の音が出せない。
  • 音源を立ち上げても音が鳴らず、原因の切り分け方が分からない。
  • 保存したはずのファイルが、あとで開けない・素材が消える。
レッスンでの判断

DAWは機能の多さではなく、「音を出す・保存する・書き出す」の3つが動くかで見ます。音が出ない時は、DAWの中では鳴っているのか、外へ出ていないのかを先に分ける。メーターが動くか、出力先はどこか、ヘッドホンをどこへ挿しているかを、順番に確かめます。

最短の手順

  1. DAWを1つに決めて入れる(比較で止まらない)。
  2. 音源を1つ立ち上げ、鍵盤かマウスで1音鳴らす。
  3. 画面のメーターが動くか確認する(動く=中では鳴っている)。
  4. 出力先(ヘッドホン/スピーカー)が正しいか確認する。
  5. プロジェクトを「曲ごとのフォルダ」に保存する。
STEP 02

コード ── 4小節で曲の「床」を作る

ゴール:4小節のコードをループさせて、上にドラムやメロディを乗せられる土台を作る。

コードは、曲全体を支える床です。ここがあると、この後のドラムも鼻歌も「乗せる場所」ができます。理論を先に全部覚える必要はありません。まず鳴らして、耳で選びます。

よくあるつまずき

  • 音楽理論を全部覚えようとして、最初のコードにたどり着けない。
  • どのコードから始めればいいのか分からず、手が止まる。
  • 並べてみたが、なんとなく単調・地味に聞こえる。
レッスンでの判断

最初の1曲は、C・Am・Dm・G を4小節に並べるだけで十分です。ダイアトニックコードは、難しい理論として覚えるより「最初に使うコードを絞る道具」として使う。Cキーなら白鍵中心で始められます。理解が浅くても、短く鳴らして聞けば、良し悪しは判断できます。

最短の手順

  1. キーをCにして、白鍵中心で考える。
  2. C・Am・Dm・G を1小節ずつ、計4小節に置く。
  3. ループ再生しながら聞く。
  4. 順番を入れ替えて、響きの違いを比べる。
  5. 気に入った並びを1つ決めて固定する。
STEP 03

ドラム ── 口で歌えるリズムを置く

ゴール:コードの上に8ビートのドラムを乗せて、一気に「曲っぽさ」を上げる。

コードだけだと曲に聞こえにくいものが、ドラムが入るだけで前に進み始めます。ここは、譜面や用語からではなく、口で言えるリズムから入るのが近道です。

よくあるつまずき

  • ドラムの名前や譜面から入ろうとして固まる。
  • 一定の強さで並べた「ベタ打ち」で、機械的に聞こえる。
  • 同じ1小節の繰り返しで、曲全体が単調になる。
レッスンでの判断

ドラムは、ドン・タン・ツツツ のように口で言えるリズムから入り、それをキック・スネア・ハイハットへ置き換えます。1小節をそのまま繰り返すと機械的になるので、A・B・A・C・A・B・A・D のように「戻る場所」と「変える場所」を作ると8小節の流れになる。コードや音色より、リズムが変わることで曲の印象は大きく変わります。

最短の手順

  1. 8ビートの基本形(キックは表、スネアは2・4拍、ハイハットで刻む)を置く。
  2. 打つ前に、口でリズムを歌ってみる。
  3. 8小節でABACのように、変える場所を1つ作る。
  4. 切れ目に短いフィル(おかず)を1つ入れる。
  5. コードと一緒に再生して確認する。

同じ8ビートを、3つの表情で聞き比べる

音色は3つとも同じです。違うのはタイミングとベロシティだけ。 スネアの位置、ハイハットの表裏の強弱、そして後ノリではハイハットにわずかな揺らぎ(±数tick)を入れています。 「ベタ打ちで機械的」から抜けるために動かすのは、音色ではなくここです。

ジャストグリッド通り/ベロシティ均一
ジャストの8ビートのピアノロール。ハイハットが均一の濃さで並んでいる
後ノリスネア +22tick/表裏でベロシティ差
後ノリの8ビートのピアノロール。スネアがグリッドより右へずれ、ハイハットの濃淡が交互になっている
スウィング裏ハイハットを3連の裏へ
スウィングの8ビートのピアノロール。裏拍のハイハットが後ろ寄りに配置されている
ファイルスネアの位置ハイハットのベロシティ聞こえ方
justグリッド通り(±0)全部 88 で均一正確だが平坦。打ち込みらしさが出る
laidback+22 tick 後ろ(約23ms)表 92 / 裏 68
+位置と強さに±数tickの揺らぎ
もたつかずに落ち着く。歌が乗せやすい
swing+10 tick表 92 / 裏 66
+裏ハイハットを3連の裏へ移動
裏拍が跳ねて、前へ進む

テンポ120では4分音符=500ms、1tick≒1.04ms。つまり +22tick は約23msです。 人が「重い/軽い」と感じ始めるのは十数msから。大きく動かす必要はありません。 この3つのMIDIファイルは、下のスターターキットに入っています。

STEP 04

鼻歌 ── 弾く前に、声でメロディを残す

ゴール:コードとドラムを流しながら鼻歌でメロディの形を作り、それをMIDIに写す。

「楽器が弾けないから作曲できない」と止まる人がいちばん多い工程です。けれど、口ずさめるなら、そこにはもうメロディのイメージがあります。鍵盤で正確に弾くのは、あとからで大丈夫です。

よくあるつまずき

  • 鍵盤が弾けないから、メロディは作れないと思い込む。
  • メロディが浮かばない、または浮かんでも忘れてしまう。
  • 作ったメロディが、コードに合っていない気がする。
レッスンでの判断

口に出せるなら、そこにはイメージがあります。音程が完璧でなくても、上がる・下がる・伸ばす・止まる、という形が残れば素材として使えます。さらにメロディは、どの拍から入るか(1拍目から/少し待って/手前から)で印象が変わる。まず鼻歌を録って形を残し、あとでMIDIへ近づけていきます。

最短の手順

  1. コード+ドラムを流しながら、鼻歌でメロディを探す。
  2. スマホなどで、その鼻歌を録っておく。
  3. 上がり下がりと長さを、MIDIで再現する。
  4. コードの構成音に近づけて、合わない音を直す。
  5. 入りの位置(拍)を少しずらして印象を比べる。
STEP 05

90秒ワンコーラス ── 1曲を「書き出す」体験をする

ゴール:イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ・終わりを90秒に収めて、音声ファイルとして書き出す。

ここが、この地図でいちばん大事な通過点です。90秒はアニメの主題歌1コーラスくらいの長さ。短いからこそ、入口から終わりまでを一度通せて、「自分にも1曲を仕上げられる」という手応えが残ります。下の配分表を目安に、各場面を小さく作ります。

よくあるつまずき

  • 完璧に作ろうとして、いつまでも書き出せない。
  • 8小節のループから先へ進めず、同じところを回り続ける。
  • どこまで作れば「完成」なのかが分からない。
レッスンでの判断

90秒は最終ゴールではなく通過点です。フルコーラスへ広げる前に、入口・展開・盛り上がり・終わり方を小さく確認する場所。作業を始める前に「今日は90秒を書き出す」と、小さいゴールを1つ決めておくと、細部に迷い込みにくくなります。

最短の手順

  1. 下の配分表を目安に、各場面を短く置く。
  2. Aメロは音数を抑え、サビとの差の余白を残す。
  3. サビで音域・音数・ドラムを広げて盛り上げる。
  4. 終わりは短く閉じる(伸ばして切る/フェード)。
  5. 音声ファイルに書き出して、スマホで聞く。

90秒の器を、先に用意しておく

配分表のとおりに場面マーカーを打った下地 song-90sec-template.mid を配布しています(完全な空ではなく、薄いコードガイド入り)。DAWに読み込むと、 どこからどこまでがAメロなのかが最初から見えている状態で作り始められます (テンポ120・全45小節・ちょうど90秒)。

↑ 同梱の chord-loop-c-am-dm-g.mid(C・Am・Dm・G の4小節ループ)の音です。 これが「床」になります。

STEP 06

フルコーラス ── 核を残して場面を増やす

ゴール:90秒の核を土台に、イントロ・2番・間奏・ラストを足して、フル尺の1曲にする。

フルコーラスは、90秒を長く引き伸ばすことではありません。同じワンコーラスを貼り付けただけだと単調になります。増やすのは長さではなく「場面の役割」です。

よくあるつまずき

  • 1コーラスをコピーして並べただけで、単調に聞こえる。
  • 2番で何を変えればいいのか分からない。
  • そもそも、そこから長くできない。
レッスンでの判断

フルコーラスは、2番・間奏・ラストで「残すもの」と「変えるもの」を分けて作ります。リファレンス(お手本の曲)は、真似るためだけでなく、どんな楽器を使うか・どこで密度が上がるか・どこで休むかを決める材料になる。使いそうな音源を先に立ち上げておくと、音色探しで手が止まりにくくなります。

最短の手順

  1. 90秒の核を複製して、土台にする。
  2. 2番は歌詞やアレンジ(楽器・密度)で変化をつける。
  3. 間奏を差し込み、場面を切り替える。
  4. ラストのサビを、音域や厚みで一段上げる。
  5. 全体を通して聞き、長すぎる場所を削る。

90秒ワンコーラスの配分表

STEP 05の目安です。テンポや曲調で前後してかまいません。大事なのは、各場面に「役割」を持たせることです。

時間場面作ること役割(なぜ)
0:00–0:08イントロコードを薄く鳴らす曲の空気とテンポを一瞬で伝える
0:08–0:32Aメロ音数を抑えて鼻歌を置く落ち着いて始め、サビとの落差を作る
0:32–0:48Bメロ密度を少し上げる緊張を溜めてサビへ持ち上げる橋
0:48–1:16サビ音域・音数・ドラムを広げるいちばん聞かせたい山を作る
1:16–1:30終わり短く閉じて書き出す1周を完了させ、通した実感を残す

「完成」の判定チェック

90秒ワンコーラスが書き出せたら、次の6つがそろっているか確認します。全部にチェックが付けば、フルコーラスへ進んで大丈夫です。

  • □ 音が出る ── 書き出したファイルがちゃんと鳴る。
  • □ コードがある ── 曲の床(伴奏)が通して鳴っている。
  • □ ドラムがある ── リズムが入り、前に進んで聞こえる。
  • □ メロディがある ── 鼻歌由来の主旋律が乗っている。
  • □ Aメロとサビに差がある ── 山と谷が聞き分けられる。
  • □ 書き出して聞ける ── スマホなど外の環境で再生できた。

詰まった時の逆引き表 ── どこへ戻るか

手が止まったら、全部をやり直す必要はありません。症状から「戻る工程」を1つだけ選んで、そこを直します。

いまの症状戻る工程読む記事
音が鳴らない/書き出せないSTEP 01 音出しCubaseで音が出ない
曲っぽく聞こえない・平坦STEP 03 ドラムノリが出ない
コードが単調・地味STEP 02 コードコードが単調な時
メロディが浮かばないSTEP 04 鼻歌鼻歌を録る
同じ8小節から進めないSTEP 05 90秒ループから進めない
長くできない・完成しないSTEP 06 フルコーラス曲が完成しない
録った歌・ギターが割れる録音の設定ボーカル録音の基本
やる気が続かない進め方続かない時

仕上げ ── ミックスの最後のひと山

音が全部そろったら、最後に音量のバランスを整えます。ここでも、いきなり難しい処理へ行かず、順番を守るだけで見違えます。

レッスンでの判断

歌ものでは、まずドラムとボーカルが聞こえる状態を先に作ります。コードやパッドを気持ちよく上げすぎると、主役が奥へ下がる。EQやコンプを触る前に、フェーダーで主役と支えを分け、全部を上げるのではなく主役以外を少し下げる。低い音域(ドラム・ベース)から高い音域(上物・ボーカル)へ、順番に聞くとバランスを取りやすくなります。

読み終えたら、手を動かすところまで

このページで説明した6工程を、そのまま作業できる形にしたのが 「90秒スターターキット」です。MIDI11ファイルとPDF5枚を、メールでお送りします。

古賀稔宏(作曲・編曲家)。「それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ」主題歌の作曲・編曲などを手がけています。 プロフィール/担当作品と外部での確認先

道具は、後回しでいい

高価なプラグインを最初にそろえる必要はありません。まずは、音が鳴る・録音できる・再生できる・保存できる状態を作ることが先。DAWに付属する音源だけでも、この地図の6工程は最後まで通せます。

そのうえで「これだけは効く」という有料の候補を挙げるなら、ドラム音源の Superior Drummer 3 と、仕上げ(マスタリング)の iZotope Ozone です。ただしどちらも、1曲を通して作れるようになってからで十分間に合います。買い物で制作が止まらないことを優先してください。

次の一歩

この地図の目的は、覚えることを増やすことではなく、1曲完成までの順番を見失わないことです。90秒ワンコーラスを書き出したら、弱いと感じた場所を1つだけ直して、フルコーラスへ広げていきましょう。

制作のコツや、工程ごとの詳しい解説は、これからもメールでも順番にお届けしていきます。まずは今日、DAWを開いて最初の1音を鳴らすところから。