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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

ドラムマシンとは

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作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

ドラムマシンとは、リズム専用の道具です。キックやスネアの音を持つ音源と、その音を並べる打ち込み機がひとつになっていて、ドラムが叩けない人でも、マス目を点灯させるだけでビートが組めます。

もとは箱型の機械でしたが、いまはDAWの中にソフトとして入っています。この記事は、画面に出てくる格子の読み方と、生ドラム音源との使い分け、最初の8ビートを作る手順の3つに絞って案内します。

先に押さえること

格子は横が時間、縦が楽器。塗った場所で音が鳴ります。

  • ドラムマシンは電子ドラムの音と打ち込み機のセット
  • 16マスで1小節、左から右へ流れる
  • 人間らしさなら生ドラム音源、機械的な正確さならドラムマシン
  • 最初のパターンは8ビートの3行だけ

リズム専用の音源と打ち込み機

2つの機能のセットだと分かると、話が早くなります。

ドラムマシンには2つの顔があります。1つ目は音源としての顔で、キック、スネア、ハイハットといった打楽器の音を持っています。

多くは電子的に作られた音で、本物のドラムセットとは違う、パチッと締まった人工的な音色が特徴です。

2つ目は打ち込み機としての顔です。持っている音を、どのタイミングで鳴らすかを並べる機能が内蔵されています。

この並べる画面がステップシーケンサーで、次の章で読み方を説明します。

1980年代に箱型の機械として広まり、そこで作られた電子ドラムの音色は、ヒップホップやダンスミュージックの土台になりました。現在はその機能がソフト化され、主要なDAWにはドラムマシン型の音源やビート作成画面が付属しています。

追加購入なしで、この記事の内容はすべて試せます。

つまり今のDTMでは、ドラムマシンは機械の名前というより、「電子ドラムの音をマス目で並べる方式」の呼び名だと考えるのが実態に近いです。

格子の読み方

縦と横の意味さえ分かれば、もう読めます。

ステップシーケンサーを開くと、マス目の格子が並んでいます。読み方は2つだけです。

横の並びは時間で、左から右へ再生が進みます。縦の並びは楽器で、キックの行、スネアの行、ハイハットの行というように分かれています。

横のマスは16個が基本です。1小節を16等分した細かさで、マス4つ分が1拍にあたります。

つまり1、5、9、13番目のマスが、それぞれ1拍目、2拍目、3拍目、4拍目の頭です。ここだけ覚えれば、格子は方眼紙ではなく楽譜として読めるようになります。

マスをクリックすると点灯し、そこでその行の楽器が鳴ります。再生すると光の縦線が左から右へ走り、点灯したマスを通過するたびに音が出ます。

音符も五線譜も出てきません。塗り絵のように、鳴らしたい場所を塗るだけです。

間違えたら、もう一度クリックして消すだけです。再生しながら塗ったり消したりできるので、耳で確かめながらリズムを組み立てられます。

この「鳴らしながら直せる」ことが、格子方式の一番の強みです。

ピアノロールとの関係も一言だけ。格子は、ピアノロールの縦軸を音の高さからドラムの種類に置き換えた特別版です。

ここで覚えた横軸の時間感覚は、後でメロディを打ち込む時にもそのまま使えます。

最初の8ビートを作る手順

口で言えるリズムを、3行に翻訳します。

最初に作るパターンは8ビートと決めてしまいましょう。ポップスからロックまで、膨大な曲を支えている基本の型です。

そしてレッスンで伝えている入り方は、譜面や理屈からではなく、口で言えるリズムから始めることです。ドン、タン、ドン、タン。

ツツツツという刻み。口に出せた音を、そのまま格子へ置き換えます。

手順は3行で終わります。まずキックの行。

ドンにあたる音なので、1拍目と3拍目の頭、つまり1番目と9番目のマスを点灯します。次にスネアの行。

タンにあたる音を、2拍目と4拍目の頭、5番目と13番目に置きます。手拍子を打つ位置と同じ、と覚えると忘れません。

最後にハイハットの行です。ツにあたる刻みを、1つおき、つまり奇数番号のマスすべてに置きます。

1小節に8回鳴るこの刻みが、8ビートという名前の由来です。再生すると、ドンとタンが交互に来て、その上をツツツツが流れる、聞き覚えのあるビートが鳴るはずです。

鳴ったら、テンポを変えて聞いてみてください。同じパターンでも、遅くすればゆったりした曲、速くすれば走る曲に聞こえます。

リズムの型とテンポの組み合わせで曲の性格が決まる感覚が、ここでつかめます。口ずさんだリズムが画面の格子でそのまま鳴る、という往復を一度体験すると、他のビートも自力で翻訳できるようになります。

8ビートの設計図

この表の通りに塗れば、そのまま鳴ります。数字は16マスの番号です。

楽器の行口で言うと点灯させるマス役割
キックドン1、91拍目と3拍目。ビートの重心
スネアタン5、132拍目と4拍目。手拍子の位置
ハイハットツツツツ1、3、5、7、9、11、13、158分の刻み。時間を等分する物差し

生ドラム音源との使い分け

正確さを聞かせるか、人間を聞かせるかで選びます。

DAWには、ドラムマシンとは別に、本物のドラムセットを録音した生ドラム系の音源も入っています。どちらもリズムを担当しますが、得意分野が違います。

ドラムマシンの音は、機械が鳴らしていることが魅力です。毎回同じ音色で、寸分ずれずに刻む正確さが、ダンスミュージックやヒップホップの気持ちよさを作ります。

生ドラム音源は逆に、人が叩いている感じが命です。叩く強さで音色が変わり、少しの揺れがノリになります。

ロックやバンド系の曲でドラムマシンの音を使うと、きれいすぎて浮くことがあり、逆に電子的な曲に生ドラムを入れると、もたついて聞こえることがあります。

選び方の目安は、作りたい曲でドラムが「機械らしく」鳴っているか、「人間らしく」鳴っているかを聞き分けることです。好きな曲を1曲流して、ドラムの音が毎回同じかどうかに耳を向けると、どちらの系統かはだいたい判別できます。

迷ったら、同じパターンを両方の音源で鳴らして聞き比べてください。打ち込んだ位置はそのままで、音源だけ差し替えられるのがDTMの利点です。

比べた瞬間に、自分の曲に合うほうは耳が教えてくれます。

1小節から先へ広げる

コピーしてから、少しだけ変えます。

8ビートが1小節できたら、それをコピーして4小節に増やします。ただし全部同じままだと、機械的な繰り返しが単調に聞こえてきます。

そこで4小節目の最後だけ、スネアを2〜3個足してみてください。次の小節へなだれ込む「おかず」になり、リズムに区切りと勢いが生まれます。

ここには曲作り全体に関わる事実があります。コードや音色をいじるより、ドラムの置き方が変わったときのほうが、曲の印象は大きく動くことが多いのです。

ドラムを適当に置いた曲は全体が平坦に聞こえます。逆に言えば、格子のマス数個の変更が、曲の表情を変える一番安い手段です。

実験として、さきほどの8ビートのキックを1個だけ、9番から11番へずらしてみてください。それだけでビートが跳ねはじめ、違うジャンルの入口が見えます。

パターンの微調整は、音楽理論より先に体で覚えられる作曲の練習です。

ドラムが4小節鳴れば、曲の土台は完成です。次はこの上にコードとメロディを重ねていきます。

どの順番で重ねるかは、制作工程マップに全工程をまとめてあるので、そちらを手元に置いて進めてください。

よくある疑問

ドラムマシンとは何ですか

キックやスネアなどのドラムの音と、それを並べる打ち込み機がひとつになった、リズム専用の道具です。DAWの中ではドラム用のソフト音源として使えます。

ステップシーケンサーの格子はどう読みますか

横が時間、縦が楽器です。マスを点灯させた位置でその楽器が鳴ります。16マスで1小節が基本で、左から右へ順番に再生されます。

ドラムマシンと生ドラム音源はどちらを使うべきですか

電子的な音で正確に刻みたい曲はドラムマシン、人が叩いた質感がほしい曲は生ドラム音源が向きます。曲のジャンルに合わせて選び分けます。

最初は何のパターンを作ればいいですか

8ビートです。キックを1拍目と3拍目、スネアを2拍目と4拍目、ハイハットを8分で刻むだけで、多くの曲を支える土台になります。

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8ビートが鳴ったら、コードとメロディを重ねる段階です。

古賀稔宏のプロフィール写真

プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。