古賀稔宏の作曲ノート

曲が完成しない理由は才能ではなく工程かもしれない

数小節は作れるのに、その先が続かない。これは才能の問題ではなく、曲を完成形へ育てる工程が見えていないだけかもしれません。

この記事の結論

完成しない時は、曲を捨てる前に、コード、ドラム、メロディ、展開、アレンジ、ミックスのどこで止まっているかを分けてください。

  • 今ある部分を8小節で整理する
  • Aメロかサビか決める
  • 同じ素材で変化を作る
  • 今ある8小節の役割を決め、1コーラスへ広げる

この記事で解決すること

この記事では、才能の有無ではなく、曲がどの工程で止まっているかを分けます。

  • 8小節だけ作って止まる
  • ループは作れるが曲にならない
  • 完成前に別の曲を始めてしまう
  • フルコーラスへの広げ方が分からない

まず確認する順番

新しい素材を増やす前に、今ある8小節をAメロかサビとして整理します。

  1. 今ある部分を8小節で整理する
  2. Aメロかサビか決める
  3. 同じ素材で変化を作る
  4. 1コーラスへ広げる
  5. 足りないパートを決める
  6. 仮ミックスで聞ける形にする
  7. フルコーラスへ展開する

確認の流れ

  1. 018小節
  2. 021コーラス
  3. 03フルコーラス

完成しない原因は才能とは限らない

曲が完成しないと、自分には才能がないと思いがちです。しかし多くの場合、問題は才能ではなく工程です。最初の数小節を作る工程と、曲を最後まで育てる工程は違います。

コードやドラムを少し作れる人でも、そこからAメロ、Bメロ、サビ、間奏、ラストへ広げる地図がなければ止まります。止まっている場所を分けることが最初の解決です。

8小節ループから抜ける

DTMでは、8小節のループが気持ちよく作れるため、そこで満足しやすくなります。しかし曲として聞かせるには、変化と戻りが必要です。

まず今の8小節を、Aメロにするのかサビにするのか決めます。役割が決まると、次に足すべきものが変わります。サビなら前に助走が必要です。Aメロなら後ろに盛り上がりが必要です。

素材を増やすより変化を作る

完成しない人は、足りないと感じるたびに新しい音を足しがちです。しかし音を増やすほど整理が難しくなり、曲の焦点がぼやけます。

まずは同じコード進行、同じドラム、同じメロディを少し変えて展開します。音数を増やす前に、抜く、休む、リズムを変える、音域を変えるという方法を使います。

1コーラスを中間目標にする

フルコーラス完成が本流です。ただし、いきなり全体を作ろうとすると大きすぎます。まず1コーラスを作り、曲の核を確認します。

1コーラスで、イントロ、Aメロ、Bメロ、サビのような流れが見えると、2番以降は変化を作る作業になります。白紙から作る部分が減るため、完成まで進みやすくなります。

検索だけでは点が増える

困った時に検索するのは正しいです。ただし検索で得られるのは、音が出ない、コードが分からない、ミックスが濁る、といった点の解決になりやすいです。

曲を完成させるには、点を線にする必要があります。音出し、コード、ドラム、メロディ、アレンジ、歌入れ、ミックスがどうつながるかを見ます。

プロの制作工程を見る意味

プロの制作現場で見るのは、今鳴っている1小節だけではありません。この後どこで盛り上げるか、歌が入る余白はあるか、フルコーラスで飽きないかまで考えます。

初心者が学ぶべきなのは、プロと同じ音をいきなり作ることではなく、プロがどの順番で判断しているかです。工程が見えると、完成しない理由を具体的に直せます。

状態別の見方

同じ悩みに見えても、見る場所が違うことがあります。今の状態に近い行から確認してください。

今起きていること見る場所次にやること
8小節だけ作って止まるその8小節の役割を見るAメロかサビかを決める
ループは作れるが曲にならない変化と戻りがあるかを見る同じ素材で抜く、休む、音域を変える
完成前に別の曲を始めてしまう止まった工程を言葉にする足りないパートだけを1つ決める
フルコーラスへの広げ方が分からない1コーラスを中間目標にするイントロ、2番、間奏、ラストへ展開する

15分で確認すること

最初は範囲を広げすぎず、下の項目だけを順番に見ます。

  1. 今ある部分を8小節で整理する
  2. Aメロかサビか決める
  3. 同じ素材で変化を作る
  4. 1コーラスへ広げる

15分では、今ある8小節の役割を決めます。Aメロなのかサビなのかが決まるだけで、次に足すものが見えます。

30分かけて見る場合

15分で解決しない場合だけ、少し広い範囲を確認します。

  1. 足りないパートを決める
  2. 仮ミックスで聞ける形にする
  3. フルコーラスへ展開する

30分見る場合は、1コーラスの流れまで広げます。足りない音を増やすより、場面の役割を先に決めます。

次の制作作業へつなげる

完成しない時は、曲を捨てる前に止まった工程を特定します。

曲が完成しない理由は、才能ではなく地図の不足であることが多いです。8小節、1コーラス、フルコーラスという段階を分けると、次にやる作業が小さくなります。

フルコーラス完成が本流です。1コーラスは妥協ではなく、曲の核を確認する中間地点です。核が見えたら、2番、間奏、ラストへ広げます。

実践ワーク

読んだあとにやること

  1. 今ある8小節をAメロかサビに決める
  2. 同じ素材で後半だけ変化を作る
  3. 1コーラスの見出しを並べる
  4. 足りないパートを1つだけ足す

新しい曲に逃げる前に、今の曲の止まった場所を1つだけ直します。完成へ進む力はそこから戻ります。

よくある失敗

知識不足より、確認する順番を飛ばして問題が大きくなることがあります。

  • 才能がないと決めつけて曲を捨てる
  • 8小節ループを延々と磨く
  • 足りないたびに新しい音を足す
  • フルコーラスへの地図を持たずに進める

次に読む記事

曲の止まり方が分かったら、コード、メロディ、初心者向けの全体工程へ戻ります。

古賀稔宏のプロフィール写真

プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGM、堂本光一ソロアルバムへのギタリスト参加など、商業音楽の制作・演奏に携わる。

プロはどうやって1曲を作るのか

古賀稔宏の「1曲完成までの制作工程マップ」では、音出しからコード、ドラム、メロディ、アレンジ、フルコーラス完成までの流れをまとめています。