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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

Cubaseで音が出ない時の確認手順

古賀稔宏のプロフィール写真

作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

Cubaseを開いて再生しても無音。鍵盤を押しても鳴らない。故障のように見えますが、多くの場合は設定のずれが原因で、順番に確認すれば数分で直ります。壊れたと判断するのは、確認を終えてからで遅くありません。

大事なのは、思いついた場所を手当たり次第に触らないことです。音は「音源 → トラック → 出力バス → ドライバー → OS → ヘッドホン」という一本道を通ります。この道に沿って、上から順に一つずつ見ていきます。

確認の順番

Cubaseで音が出ない時は、音の通り道に沿って上から確認します。

  • 再生してメーターが振れるかで「中」と「外」を分ける
  • スタジオ設定のオーディオシステムでドライバーを確認
  • オーディオコネクションとトラックの出力先を確認
  • OS側の出力先とヘッドホンの挿し先を確認
  • 直ったら保存して、変えた場所をメモする

まずメーターで「中」と「外」を分ける

原因は大きく2種類に分かれます。

メーターの状態で切り分ける図。トラックもStereo Outも振れない/トラックだけ振れる/Stereo Outは振れるが聞こえない/両方振れて聞こえる、の4状態
自分の画面がどの状態かを当てはめると、次に触る場所が決まります。
音の通り道の図。トラックの出力先→出力バス→オーディオインターフェース→ヘッドホンの4段と、各段で切れた時の症状
メーターが振れているのに聞こえないなら、原因は1〜2ではなく3〜4にあります。

音が出ない原因は、大きく2つに分かれます。1つは、Cubaseの中でそもそも音が作られていない場合。もう1つは、中では鳴っているのに、スピーカーやヘッドホンまで届いていない場合です。

この2つは直す場所がまったく違います。

見分け方は簡単です。曲を再生して、トラックの音量メーターと、一番右にあるStereo Out(マスター)のメーターが振れるかを見ます。

メーターが振れているなら、Cubaseの中では音が鳴っています。疑うのは外への道、つまりドライバーやOS側です。

振れていないなら、中で音が止まっています。トラックや音源側を見ます。

レッスンで受ける「音が出ない」相談も、開けてみるとデバイス設定と出力先のずれであることが多いです。

中で鳴っているかをメーターで確かめ、出力先はどこか、ヘッドホンをどこへ挿しているか。この順番で見れば、原因を1つずつ消していけます。

なお、再生ボタンでは鳴るのにMIDIキーボードを押した時だけ鳴らない場合は、出力ではなく入力側の話です。切り分け方が変わるので、この記事では再生しても聞こえないケースに絞ります。

手順1 オーディオシステムでドライバーを選ぶ

Cubaseがどの機器に音を渡すかを決める場所です。

最初に見るのは、上部メニューの「スタジオ」→「スタジオ設定」→「オーディオシステム」です。ここで選ぶドライバーが、Cubaseの音をどの機器へ渡すかを決めます。

ドライバーとは、ソフトと機器の間をつなぐ通訳のようなプログラムです。

オーディオインターフェイスを使っているなら、そのメーカーの専用ドライバー(WindowsならASIOドライバー)を選びます。インターフェイスを持っていないなら、パソコン内蔵の出力を使う汎用ドライバーを選びます。

ここが「未接続」や別の機器になっていると、Cubaseの中でいくら鳴っても音はどこにも届きません。

よくあるずれは、ヘッドホンをパソコン本体に挿しているのに、Cubase側ではオーディオインターフェイスのドライバーを選んでいるパターンです。音はインターフェイス側へ出ているので、パソコンに挿したヘッドホンでは何も聞こえません。

逆のパターンも起きます。

メニューの名前はバージョンによって少し変わることがあります。見つからない時は、お使いのバージョンの公式マニュアルで「スタジオ設定」を確認してください。

手順2 オーディオコネクションの出力を合わせる

音の出口とドライバーをつなぐ場所です。

次は「スタジオ」→「オーディオコネクション」を開き、「出力」タブを見ます。ここでは、Stereo Outという出力バスが、実際の機器のどの端子につながるかを決めています。

バスとは、複数のトラックの音をまとめて運ぶ通路のことです。

確認するのは2点です。

  • Stereo Outが存在しているか。
  • そして、そのデバイスポートに、実際に聞きたい出口(インターフェイスのメイン出力や、内蔵のヘッドホン端子)が割り当てられているか。

ポートが「未接続」になっていると、音の通路はあるのに出口がふさがれた状態になります。

手順1のオーディオシステムと、この出力の割り当ては、セットでずれやすい場所です。

機材を買い替えた直後や、USBを別の穴に挿し直した後は、特にここが変わりやすいので、2つ続けて確認する習慣をつけると迷いません。

手順3 トラックの出力先とモニタリング

トラック単位で音が止まっていないかを見ます。

設定が合っているのに鳴らない時は、トラック自体を見ます。鳴らしたいトラックを選び、画面左のインスペクターで出力先がStereo Outになっているか確認します。

グループチャンネルを経由している場合は、最終的にStereo Outへ届いているかまで追いかけます。

次に、ミュートとソロです。トラックのMボタンが点いていれば、そのトラックは消音されています。

見落としやすいのは別トラックのソロで、どれか1つでもSボタンが点いていると、それ以外のトラックは全部鳴りません。

もう1つ、初心者が一番はまりやすいのがモニタリングボタンです。トラックにあるスピーカー型のボタンが点灯していると、そのトラックは録音待ちで「今入ってくる音」を聞く状態になり、すでに録った音を再生しても聞こえません。

再生の確認をする時は、このボタンを消してから再生します。

手順4 OS側の出力先とヘッドホンの挿し先

Cubaseの外で音が迷子になっていないかを見ます。

先に分けること

ASIOドライバーを使っているなら、Windowsの出力先は関係ありません。

オーディオインターフェースのメーカー製ASIOドライバーをCubaseで選んでいる場合、 Cubaseの音はWindowsのサウンド設定を通らず、そのインターフェースへ直接出ます。 この状態でWindows側の出力先を切り替えても直りません。見るべきは、Cubaseで選んでいるドライバーと、 インターフェースのどの端子から出ているかです。

一方、パソコン内蔵の音や汎用ドライバー(Generic Low Latency ASIO Driver など)を使っている場合は、 OS側の出力先が効いてきます。Macも、Cubaseで選んだデバイスが優先されます。 まず「自分がどちらか」を確かめてから、下を読んでください。

設定を直したあと、本当に出口まで通っているかを耳で確かめられます。 ブラウザで再生できるので、DAWを触る前の切り分けにも使えます。

左右の確認左だけ2回 → 右だけ2回 → 両方2回

左だけ・右だけが正しく聞こえれば、出力先とヘッドホンの左右は合っています。 片側しか鳴らない、左右が逆、というときは、ここでつまずいていることが分かります。

基準トーン1kHz・−12dBFS・6秒

音量の基準として使えます。これがちょうど良い音量になるようにスピーカーやヘッドホンを合わせておくと、 日によって聞こえ方が変わるのを防げます。耳を痛めないよう、最初は小さめから上げてください。

条件:正弦波のテスト信号/内容 左660Hz→右990Hz→両方・1000Hzを-12dBFS/音楽ではなく確認用の信号です。

Cubase側が全部正しくても、パソコン自体が別の機器へ音を送っていれば聞こえません。WindowsでもMacでも、サウンド設定を開いて、出力デバイスが聞きたい機器になっているか、音量が下がっていないか、ミュートになっていないかを見ます。

ワイヤレスイヤホンに自動でつながっていて、机の上のスピーカーから鳴らないというケースもよくあります。

それから物理的な確認です。オーディオインターフェイスを通す設定なら、ヘッドホンはインターフェイスのヘッドホン端子に挿します。パソコン本体に挿したままでは鳴りません。

ヘッドホンつまみやスピーカーの電源、ボリュームがゼロになっていないかも一緒に見ます。

ここまでやっても鳴らず、メーターは振れているなら、ドライバー自体が古いか不調の可能性があります。オーディオインターフェイスのメーカーサイトで最新のドライバーを入れ直し、パソコンを再起動してから試します。

手順5 音源が読み込まれているか

メーターが振れない時は、音を作る側を見ます。

メーターがまったく振れない場合は、そもそも音が作られていません。打ち込みで鳴らしたいなら、インストゥルメントトラックに音源(ソフト上の楽器)が読み込まれているかを見ます。

MIDIのデータだけがあっても、鳴らす楽器がなければ無音のままです。

音源が読み込まれているのに鳴らない時は、音源の画面を開いて、音色が選ばれているかを確認します。音源によっては、立ち上げた直後は空の状態で、音色を自分で読み込むまで鳴らないものがあります。

切り分けに一番効くのは、新規プロジェクトでの音出しです。何も入っていない新しいプロジェクトを作り、ピアノ系の音源を1つだけ立ち上げて、1音鳴らしてみます。

ここで鳴れば、ドライバーや出力の設定は生きていて、問題は元のプロジェクトの中にあります。鳴らなければ、手順1から4のどこかがずれています。

全部の機能を調べる前に、この1音で範囲を半分にできます。

Stereo Outは振れるのに聞こえない時:Control Room

メーターが振れているのに無音なら、ここが残っています。

Cubaseには Control Room という、モニター専用の出口を別に持つ仕組みがあります。 これを有効にしていると、Stereo Out のメーターが元気に振れていても、 実際に音を出しているのは Control Room の Monitor バスの方です。

次の4つを順に見てください。

  1. Control Room が有効になっているか
  2. Monitor バスが作られているか
  3. Monitor バスの出力先が、実際に使っている端子になっているか
  4. Control Room 側でミュートや DIM(音量を一時的に下げる機能)が入っていないか

Control Room を使わない運用なら、無効にしたうえで Stereo Out の出力先を合わせるのが早いです。 「メーターは振れているのに聞こえない」で長く詰まる人は、たいていここです。

症状別の切り分け表

メーターの状態から、疑う場所を絞ります。

メーターの状態疑う場所確認する操作
トラックもStereo Outも振れない音源・トラック音源の読み込み、音色の選択、ミュートと他トラックのソロ
トラックは振れるがStereo Outは振れないルーティングトラックの出力先がStereo Outか、グループ経由の行き先
Stereo Outまで振れるのに聞こえないCubaseの外オーディオシステムのドライバー、出力ポートの割り当て、OSの出力先、ヘッドホンの挿し先
録音済みの音だけ聞こえないモニタリングスピーカー型のモニタリングボタンを消して再生
設定は全部合っているのに無音ドライバーメーカーの最新ドライバーを入れ直して再起動

直ったら保存して再発を防ぐ

同じ場所でもう一度止まらないようにします。

音が出たら、そこで終わりにせず、まずプロジェクトを保存します。そして一度Cubaseを閉じ、開き直してもう一度鳴るかを確かめます。

開き直しても鳴る状態まで確認して、はじめて直ったと言えます。

次に、どこを変えたら直ったのかを一文で残します。「オーディオシステムのドライバーを選び直した」「トラックの出力先をStereo Outに戻した」程度で十分です。

設定名を覚える自信がなければ、直った状態の設定画面をスクリーンショットで撮っておくのも有効です。

再発のきっかけは、だいたい決まっています。USB機器の抜き差し、OSやドライバーの更新、ワイヤレス機器の自動接続。

この後に音が出なくなったら、慌てずに手順1と手順4から見直せば、ほとんどは数分で戻せます。

音が出る状態は、制作のスタート地点です。ここへいつでも戻れるようにしておけば、止まるのを怖がらずに曲作りへ進めます。

この先の、コードやドラムから1曲を組み立てていく流れは、制作工程マップにまとめています。

よくある疑問

メーターは振れているのに音が聞こえない時はどこを見ますか

Cubaseの中では鳴っています。オーディオシステムのドライバー、オーディオコネクションの出力、OS側の出力先、ヘッドホンの挿し先の順に、外へ出る道を確認します。

MIDIキーボードを押しても音が出ないのは同じ原因ですか

再生ボタンで曲が鳴るなら、出力ではなく入力側の問題です。接続の順番や認識の確認など切り分けが変わるので、MIDIキーボードの記事を参照してください。

オーディオインターフェイスがなくてもCubaseで音は出せますか

出せます。オーディオシステムで、パソコン内蔵の出力を使う汎用ドライバーを選びます。録音を始める段階までは内蔵出力でも確認できます。

直してもまた音が出なくなるのはなぜですか

機材の抜き差しやOSの更新で出力先の設定が変わることがあるためです。直った直後に保存し、変えた場所を一文でメモしておくと次回すぐ戻れます。

無料配布|音が出ないときの3分診断シート

音には決まった通り道があります。鍵盤 → 音源 → トラック → マスター → 再生デバイス → ヘッドホン。この順に「どこまで来ているか」を見るだけで、たいていは3分で場所が分かります。その手順を1枚にまとめたPDFを、90秒の下地やコードMIDIと一緒に無料でお送りしています。

次に進む記事

近い症状や次の工程へ進みます。

古賀稔宏のプロフィール写真

プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。

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