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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

Cubaseで音が出ない時の確認手順

古賀稔宏のプロフィール写真

作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

Cubaseを開いて再生しても無音。鍵盤を押しても鳴らない。故障のように見えますが、多くの場合は設定のずれが原因で、順番に確認すれば数分で直ります。壊れたと判断するのは、確認を終えてからで遅くありません。

大事なのは、思いついた場所を手当たり次第に触らないことです。音は「音源 → トラック → 出力バス → ドライバー → OS → ヘッドホン」という一本道を通ります。この道に沿って、上から順に一つずつ見ていきます。

確認の順番

Cubaseで音が出ない時は、音の通り道に沿って上から確認します。

  • 再生してメーターが振れるかで「中」と「外」を分ける
  • スタジオ設定のオーディオシステムでドライバーを確認
  • オーディオコネクションとトラックの出力先を確認
  • OS側の出力先とヘッドホンの挿し先を確認
  • 直ったら保存して、変えた場所をメモする

まずメーターで「中」と「外」を分ける

原因は大きく2種類に分かれます。

音が出ない原因は、大きく2つに分かれます。1つは、Cubaseの中でそもそも音が作られていない場合。もう1つは、中では鳴っているのに、スピーカーやヘッドホンまで届いていない場合です。

この2つは直す場所がまったく違います。

見分け方は簡単です。曲を再生して、トラックの音量メーターと、一番右にあるStereo Out(マスター)のメーターが振れるかを見ます。

メーターが振れているなら、Cubaseの中では音が鳴っています。疑うのは外への道、つまりドライバーやOS側です。

振れていないなら、中で音が止まっています。トラックや音源側を見ます。

レッスンで受ける「音が出ない」相談も、開けてみるとデバイス設定と出力先のずれであることが多いです。

中で鳴っているかをメーターで確かめ、出力先はどこか、ヘッドホンをどこへ挿しているか。この順番で見れば、原因を1つずつ消していけます。

なお、再生ボタンでは鳴るのにMIDIキーボードを押した時だけ鳴らない場合は、出力ではなく入力側の話です。切り分け方が変わるので、この記事では再生しても聞こえないケースに絞ります。

手順1 オーディオシステムでドライバーを選ぶ

Cubaseがどの機器に音を渡すかを決める場所です。

最初に見るのは、上部メニューの「スタジオ」→「スタジオ設定」→「オーディオシステム」です。ここで選ぶドライバーが、Cubaseの音をどの機器へ渡すかを決めます。

ドライバーとは、ソフトと機器の間をつなぐ通訳のようなプログラムです。

オーディオインターフェイスを使っているなら、そのメーカーの専用ドライバー(WindowsならASIOドライバー)を選びます。インターフェイスを持っていないなら、パソコン内蔵の出力を使う汎用ドライバーを選びます。

ここが「未接続」や別の機器になっていると、Cubaseの中でいくら鳴っても音はどこにも届きません。

よくあるずれは、ヘッドホンをパソコン本体に挿しているのに、Cubase側ではオーディオインターフェイスのドライバーを選んでいるパターンです。音はインターフェイス側へ出ているので、パソコンに挿したヘッドホンでは何も聞こえません。

逆のパターンも起きます。

メニューの名前はバージョンによって少し変わることがあります。見つからない時は、お使いのバージョンの公式マニュアルで「スタジオ設定」を確認してください。

手順2 オーディオコネクションの出力を合わせる

音の出口とドライバーをつなぐ場所です。

次は「スタジオ」→「オーディオコネクション」を開き、「出力」タブを見ます。ここでは、Stereo Outという出力バスが、実際の機器のどの端子につながるかを決めています。

バスとは、複数のトラックの音をまとめて運ぶ通路のことです。

確認するのは2点です。

  • Stereo Outが存在しているか。
  • そして、そのデバイスポートに、実際に聞きたい出口(インターフェイスのメイン出力や、内蔵のヘッドホン端子)が割り当てられているか。

ポートが「未接続」になっていると、音の通路はあるのに出口がふさがれた状態になります。

手順1のオーディオシステムと、この出力の割り当ては、セットでずれやすい場所です。

機材を買い替えた直後や、USBを別の穴に挿し直した後は、特にここが変わりやすいので、2つ続けて確認する習慣をつけると迷いません。

手順3 トラックの出力先とモニタリング

トラック単位で音が止まっていないかを見ます。

設定が合っているのに鳴らない時は、トラック自体を見ます。鳴らしたいトラックを選び、画面左のインスペクターで出力先がStereo Outになっているか確認します。

グループチャンネルを経由している場合は、最終的にStereo Outへ届いているかまで追いかけます。

次に、ミュートとソロです。トラックのMボタンが点いていれば、そのトラックは消音されています。

見落としやすいのは別トラックのソロで、どれか1つでもSボタンが点いていると、それ以外のトラックは全部鳴りません。

もう1つ、初心者が一番はまりやすいのがモニタリングボタンです。トラックにあるスピーカー型のボタンが点灯していると、そのトラックは録音待ちで「今入ってくる音」を聞く状態になり、すでに録った音を再生しても聞こえません。

再生の確認をする時は、このボタンを消してから再生します。

手順4 OS側の出力先とヘッドホンの挿し先

Cubaseの外で音が迷子になっていないかを見ます。

Cubase側が全部正しくても、パソコン自体が別の機器へ音を送っていれば聞こえません。WindowsでもMacでも、サウンド設定を開いて、出力デバイスが聞きたい機器になっているか、音量が下がっていないか、ミュートになっていないかを見ます。

ワイヤレスイヤホンに自動でつながっていて、机の上のスピーカーから鳴らないというケースもよくあります。

それから物理的な確認です。オーディオインターフェイスを通す設定なら、ヘッドホンはインターフェイスのヘッドホン端子に挿します。パソコン本体に挿したままでは鳴りません。

ヘッドホンつまみやスピーカーの電源、ボリュームがゼロになっていないかも一緒に見ます。

ここまでやっても鳴らず、メーターは振れているなら、ドライバー自体が古いか不調の可能性があります。オーディオインターフェイスのメーカーサイトで最新のドライバーを入れ直し、パソコンを再起動してから試します。

手順5 音源が読み込まれているか

メーターが振れない時は、音を作る側を見ます。

メーターがまったく振れない場合は、そもそも音が作られていません。打ち込みで鳴らしたいなら、インストゥルメントトラックに音源(ソフト上の楽器)が読み込まれているかを見ます。

MIDIのデータだけがあっても、鳴らす楽器がなければ無音のままです。

音源が読み込まれているのに鳴らない時は、音源の画面を開いて、音色が選ばれているかを確認します。音源によっては、立ち上げた直後は空の状態で、音色を自分で読み込むまで鳴らないものがあります。

切り分けに一番効くのは、新規プロジェクトでの音出しです。何も入っていない新しいプロジェクトを作り、ピアノ系の音源を1つだけ立ち上げて、1音鳴らしてみます。

ここで鳴れば、ドライバーや出力の設定は生きていて、問題は元のプロジェクトの中にあります。鳴らなければ、手順1から4のどこかがずれています。

全部の機能を調べる前に、この1音で範囲を半分にできます。

症状別の切り分け表

メーターの状態から、疑う場所を絞ります。

メーターの状態疑う場所確認する操作
トラックもStereo Outも振れない音源・トラック音源の読み込み、音色の選択、ミュートと他トラックのソロ
トラックは振れるがStereo Outは振れないルーティングトラックの出力先がStereo Outか、グループ経由の行き先
Stereo Outまで振れるのに聞こえないCubaseの外オーディオシステムのドライバー、出力ポートの割り当て、OSの出力先、ヘッドホンの挿し先
録音済みの音だけ聞こえないモニタリングスピーカー型のモニタリングボタンを消して再生
設定は全部合っているのに無音ドライバーメーカーの最新ドライバーを入れ直して再起動

直ったら保存して再発を防ぐ

同じ場所でもう一度止まらないようにします。

音が出たら、そこで終わりにせず、まずプロジェクトを保存します。そして一度Cubaseを閉じ、開き直してもう一度鳴るかを確かめます。

開き直しても鳴る状態まで確認して、はじめて直ったと言えます。

次に、どこを変えたら直ったのかを一文で残します。「オーディオシステムのドライバーを選び直した」「トラックの出力先をStereo Outに戻した」程度で十分です。

設定名を覚える自信がなければ、直った状態の設定画面をスクリーンショットで撮っておくのも有効です。

再発のきっかけは、だいたい決まっています。USB機器の抜き差し、OSやドライバーの更新、ワイヤレス機器の自動接続。

この後に音が出なくなったら、慌てずに手順1と手順4から見直せば、ほとんどは数分で戻せます。

音が出る状態は、制作のスタート地点です。ここへいつでも戻れるようにしておけば、止まるのを怖がらずに曲作りへ進めます。

この先の、コードやドラムから1曲を組み立てていく流れは、制作工程マップにまとめています。

よくある疑問

メーターは振れているのに音が聞こえない時はどこを見ますか

Cubaseの中では鳴っています。オーディオシステムのドライバー、オーディオコネクションの出力、OS側の出力先、ヘッドホンの挿し先の順に、外へ出る道を確認します。

MIDIキーボードを押しても音が出ないのは同じ原因ですか

再生ボタンで曲が鳴るなら、出力ではなく入力側の問題です。接続の順番や認識の確認など切り分けが変わるので、MIDIキーボードの記事を参照してください。

オーディオインターフェイスがなくてもCubaseで音は出せますか

出せます。オーディオシステムで、パソコン内蔵の出力を使う汎用ドライバーを選びます。録音を始める段階までは内蔵出力でも確認できます。

直してもまた音が出なくなるのはなぜですか

機材の抜き差しやOSの更新で出力先の設定が変わることがあるためです。直った直後に保存し、変えた場所を一文でメモしておくと次回すぐ戻れます。

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プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。

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