Cubaseのインストゥルメントトラックとは

作曲・編曲家 古賀 稔宏
「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。
Cubaseには何種類かのトラックがあり、初心者が最初に迷うのが「どのトラックで打ち込めばよいか」です。インストゥルメントトラックは、音源とMIDIがひとつにセットになったトラックです。これ1本で、打ち込みから実際に音が鳴るところまで完結します。
だから、最初に打ち込みを試すなら、インストゥルメントトラックが分かりやすい入口です。ピアノやドラムの音源を選び、ノート(音符)を置けば、すぐに音が鳴ります。音源を別に立ち上げてつなぐ、という手間がありません。
先に見ること
インストゥルメントトラックは、音源とMIDIがセットで1本で完結するトラックです。
- ソフト音源が最初から組み込まれている
- 打ち込み(MIDI)から発音までを1本で扱える
- オーディオトラック、MIDIトラックとは役割が違う
- 初心者が最初に打ち込みを試すのに向く
インストゥルメントトラックとは
音源とMIDIが、ひとつになったトラックです。
インストゥルメントトラックは、ソフト音源と、その音源を鳴らすためのMIDIが、ひとつにまとまったトラックです。トラックを作る時に音源を選ぶと、その音源が最初から組み込まれた状態でできあがります。
あとはノートを置けば、選んだ音源がそのまま鳴ります。
「打ち込みをして、音を鳴らす」という一連の流れが、1本のトラックの中で完結するのが特徴です。
ピアノのインストゥルメントトラックを作れば、そこに置いたノートはピアノの音で鳴ります。ドラムの音源を選べば、同じ操作でドラムが鳴ります。
名前が長くて難しく見えますが、やっていることは単純です。
音を出すための道具である音源と、その指示であるMIDIが、最初からセットになっている。だから、別々に用意して線でつなぐ手間がありません。
この手間のなさが、初心者にとっての使いやすさになります。
3つのトラックの違い
何を扱い、音源が要るかで分けます。
| トラックの種類 | 扱うもの | 音源 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| インストゥルメントトラック | MIDI(打ち込み) | 最初から組み込み | ピアノやドラムを打ち込む |
| オーディオトラック | 録音した音(波形) | 不要(音そのもの) | 歌やギターを録る |
| MIDIトラック | MIDI(打ち込み) | 別に用意して指定 | 外部音源や複数音源をまとめる時 |
ここで初心者がつまずきやすいのが、インストゥルメントトラックとMIDIトラックの違いです。
どちらも打ち込み(MIDI)を扱いますが、MIDIトラックは音源を持っていません。別に立ち上げた音源を指定して、はじめて音が鳴ります。指定を忘れると、ノートを置いても音が出ません。
インストゥルメントトラックは音源が組み込み済みなので、その手間がない分、最初の一本に向いています。
作り方
音源を選ぶだけで、すぐ鳴らせます。
作り方はかんたんです。トラックを追加するメニューから「インストゥルメントトラック」を選び、鳴らしたい音源を一つ指定します。
Cubaseには最初からいくつかの音源が付いているので、その中から選べば、追加で何かを買う必要はありません。
トラックができたら、鍵盤の画面やピアノロールで、音を1つ置いてみます。再生すると、選んだ音源の音が鳴ります。
MIDIキーボードをつないでいれば、鍵盤を押してその場で鳴らすこともできます。
まずは1音鳴らして、選んだ音源で音が出ることを確かめます。
制作に入る前に、使いそうな音源のトラックを先に何本か立ち上げておくと、作業が軽くなります。ドラム、ベース、ピアノなど、よく使うものを先に用意しておくと、曲を作る途中で音色探しに止まりにくくなります。
最初から全部の機能を覚える必要はありません。
音を出す、打ち込む、保存する、書き出す。この入口が動けば、曲作りへ進めます。細かい設定は、必要になった時に一つずつ覚えれば十分です。
付属音源の選び方
まずは付属の音源だけで十分です。
Cubaseには、HALion Sonicのような総合音源が付属しています。総合音源とは、ピアノ、ストリングス、ドラム、シンセなど、たくさんの音色が一つにまとまった音源のことです。
これだけでも、一曲を組み立てるのに必要な音はひととおりそろいます。
選ぶ時は、まず作りたい曲に必要な役割から考えます。
- 土台になるドラム
- 低音を支えるベース
- コードを鳴らす鍵盤やパッド
- 主役になるメロディの音
この役割ごとに、付属音源の中から近いものを一つずつ選びます。
音色の名前が多くて迷う時は、ピアノやアコースティックな音など、素直な音から始めると判断しやすいです。
有料の専用音源に手を広げるのは、付属音源で曲を作れるようになってからで十分です。
たとえば、より本格的なドラムが欲しくなったらSuperior Drummer 3のような専用音源、といった具合に、足りないと感じた部分だけを足していきます。最初から高価な音源をそろえる必要はありません。
大切なのは、音色をじっくり選ぶことより、選んだ音で手を動かすことです。
仮の音色でも、曲の流れは作れます。流れができてから、必要な場所の音色を差し替えるほうが、判断がしやすくなります。
初心者がまず使う理由
最初の一曲の流れを、実例で見るのが早いです。
向いている理由は、実際の始め方を見るとよく分かります。たとえば最初の一曲なら、インストゥルメントトラックを3本作るところから始めます。
1本目はドラム、2本目はベース、3本目はピアノ。付属音源から選んで、トラック名を付けたら準備完了です。
あとはドラムに1小節のリズムを置き、ベース、ピアノの順に音を重ねていきます。3本とも「トラックを作る、音源を選ぶ、ノートを置く」という同じ操作の繰り返しなので、パートが増えても覚えることは増えません。
この反復のしやすさが、初心者に向くいちばんの理由です。同じ操作を音源を替えて繰り返すうちに、Cubaseでの打ち込みの流れが自然と身につきます。
MIDIトラックや外部音源の使い分けは、そのあとで覚えれば間に合います。
もう一つの利点は、曲全体の見通しが立てやすいことです。
パートごとにインストゥルメントトラックを分けておくと、どのトラックがドラムで、どれがベースかがひと目で分かります。トラックの名前を音源に合わせて付けておくと、あとで音量を整える時にも迷いにくくなります。
つまずきやすい点
種類の取り違えと、音源の未選択に注意します。
つまずきやすいのは、打ち込みたいのにオーディオトラックを作ってしまう場面です。
オーディオトラックは録音用なので、そこにノートを置くことはできません。打ち込みをするなら、インストゥルメントトラックかMIDIトラックを選びます。
もう一つは、音源が選ばれていないのにノートを置いて、音が出ないと悩む場面です。
インストゥルメントトラックなら音源は組み込み済みですが、MIDIトラックの場合は、鳴らす音源を自分で指定しないと音が出ません。音が出ない時は、トラックの種類と、音源が指定されているかを先に確かめます。
迷った時は、複雑なつなぎ方を試す前に、インストゥルメントトラックを1本作り、付属音源で1音鳴らすところに戻ります。
そこが動けば、打ち込みの土台はできています。
あとは曲の中で、必要なトラックを足していけば大丈夫です。制作の順番に不安が残るなら、無料の工程マップも入口の助けになります。
よくある疑問
インストゥルメントトラックとMIDIトラックは何が違いますか
インストゥルメントトラックは音源が組み込み済みで、1本で音が鳴ります。MIDIトラックは音源を持たず、別に用意した音源を指定して鳴らします。
初心者はどのトラックを使えばいいですか
打ち込みを試すなら、音源とMIDIがセットのインストゥルメントトラックが分かりやすい入口です。歌やギターを録るならオーディオトラックを使います。
音源は別に買う必要がありますか
いりません。CubaseにはHALion Sonicのような付属音源があり、まずはこれだけで曲を組み立てられます。足りない音は、あとから足せば十分です。
インストゥルメントトラックで音が出ません
トラックの種類が合っているか、音源が読み込まれているか、ノートが置かれているかを順に確かめます。オーディオトラックには打ち込みできません。
無料配布|アンパンマン劇場版楽曲を手がけた作曲家の「制作工程マップ」
音出し、コード、ドラム、メロディ、アレンジ、フルコーラス完成までの流れを1枚にまとめた無料マップです。登録するとその場でご覧いただけます。
次に進む記事
今の状態に近い記事へ進みます。