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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

バッファサイズとは

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作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

バッファサイズは、パソコンが音の処理を「まとめ買い」する量の設定です。パソコンは音のデータを1粒ずつ処理しているのではなく、ある程度ためてから、まとめて処理して送り出しています。このためておく量がバッファサイズで、128や256といった数値で表されます。

まとめる量を小さくすれば、こまめに処理する分だけ反応は速くなりますが、パソコンは忙しくなります。大きくすれば、余裕を持って処理できる分だけ安定しますが、音が出てくるまでに遅れが生まれます。DTMで起きる「鍵盤を押してから音が遅れて鳴る」「再生中にプチプチ途切れる」という2大トラブルは、どちらもこの設定と直結しています。

先に見ること

バッファサイズは「音の処理のまとめ買いの量」です。

  • 小さい=反応が速いが、パソコンの負担が増える
  • 大きい=安定するが、音が遅れて聞こえる
  • 録音の時は小さく、ミックスの時は大きくが原則
  • プチプチ途切れたら、まず一段大きくする

まとめ買いの量という考え方

1粒ずつか、まとめてか。それだけの話です。

デジタルの音は、1秒間を何万個にも輪切りにした細かい粒でできています。この粒の1つをサンプルと呼びます。

パソコンがこの粒を1つ処理するたびに音源やエフェクトの計算を全部やり直していたら、いくら高性能でも間に合いません。

そこで、粒をいったんバケツにためて、いっぱいになったらまとめて処理する方式を取ります。このバケツの容量がバッファサイズです。

買い物に例えると分かりやすいです。醤油が切れるたびに1本だけ買いに走るのが小さいバッファ。すぐ手に入る代わりに、何度も店へ往復することになり、体力を使います。

週に1回まとめ買いするのが大きいバッファ。往復の回数は減って楽になりますが、買い物かごが手元に届くまでの待ち時間は長くなります。

バッファサイズの数値は、このバケツに入る粒の数です。128なら128サンプルたまるごとに処理、1024なら1024サンプルごとに処理します。

つまり数値が小さいほど「こまめで機敏、でも忙しい」、大きいほど「のんびりだが安定」という性格になります。

設定に正解の1点はありません。作業の内容によって、ちょうどいい量が変わるからです。この「作業によって変える」という発想が、バッファサイズ理解の中心になります。

小さい時と大きい時のトレードオフ

速さを取るか、安定を取るか。両方は取れません。

バッファサイズを小さくして得られるのは、反応の速さです。鍵盤を押してから、あるいはマイクに声を入れてから、音が耳に届くまでの遅れをレイテンシーと呼びます。

バケツが小さいほど、たまるのを待つ時間が短いので、このレイテンシーは縮まります。演奏する側にとっては快適そのものです。

代償はパソコンの負担です。こまめな処理は締め切りの短い仕事を連発するようなもので、CPUに余裕がないと処理が間に合わなくなります。

間に合わなかった瞬間、音は一瞬欠けて、プチッというノイズになります。

大きくした場合は逆です。処理に余裕が生まれ、たくさんのトラックやプラグインを積んでも音が途切れにくくなります。

代わりにレイテンシーが伸びるので、鍵盤を押してから音が返ってくるまでの「もたつき」がはっきり分かるようになります。

歌を録りながら自分の声をヘッドホンで聞くと、やまびこのようにずれて聞こえて、まともに歌えません。

設定音の反応パソコンの負担向いている作業
小さい(例: 64〜128)速い重い。途切れやすい録音、リアルタイムの演奏
中間(例: 256)ほどほどほどほど打ち込み中心の制作
大きい(例: 512〜1024)遅れる軽い。安定するミックス、書き出し前の確認

数値の目安は環境によって変わるので、表の値は出発点として見てください。

同じ256でも、パソコンの性能と立ち上げたプラグインの数によって、快適にも限界にもなります。

録音は小さく、ミックスは大きく

作業が変わったら、設定も変えます。

それでは実際に、どう運用すればいいのか。レッスンで判断の軸にしているのは、レイテンシーは録音時とミックス時で見る基準が違う、という考え方です。

録音している時に大事なのは反応の速さで、ミックスしている時に大事なのは安定性。同じ1つの設定で両方を解決しようとしないことです。

歌やギターを録る時、演奏して打ち込む時は、バッファサイズを小さくします。

多少CPUが忙しくなっても、演奏のしやすさが優先です。遅れた自分の声を聞きながら歌えるボーカリストはいません。

録り終えてミックスの段階に入ったら、思い切って大きくします。

ミックス中は再生ボタンを押してから音が出るまでに一瞬の間があっても、作業には何も困りません。それより、増えたトラックとエフェクトを途切れずに再生できることのほうがずっと重要です。

切り替えというひと手間を面倒に感じるかもしれませんが、録音の日とミックスの日で作業を分けているなら、その日の最初に1回変えるだけです。

「今日は録る日だから小さく、今日は混ぜる日だから大きく」。この習慣だけで、バッファサイズ絡みの悩みの大半は最初から起きなくなります。

プチプチ途切れる時の対処

手順は「一段上げる」から始めます。

再生中の音がプチプチ、ブツブツと途切れる。この症状は、処理が締め切りに間に合っていないサインです。

対処は順番にやれば難しくありません。

最初の一手は、バッファサイズを一段大きくすることです。256なら512へ。バケツを大きくして、処理の締め切りをゆるめます。

これだけで直るケースが一番多いです。録音中で小さくしておきたい場合は、次の手に進みます。

次の一手は、パソコンの仕事を減らすことです。DAWの裏で開いているブラウザや動画アプリを閉じます。

プロジェクト側では、今使っていないトラックのプラグインを一時的にオフにするか、音源をたくさん積んだトラックをオーディオに書き出して(フリーズ機能があればフリーズして)、計算をファイルに置き換えます。

それでも改善しない時は、音の通り道であるドライバーを見ます。Windowsでオーディオインターフェイスを使うなら、メーカー配布のASIOドライバーが選ばれているかを確認してください。

DAWのオーディオ設定で汎用のドライバーになっていると、同じバッファサイズでも効率が大きく落ちます。

ここまでやって常に途切れるなら、プロジェクトの規模がパソコンの体力を超えています。その場合の相棒は設定ではなく、トラックの整理や機材の見直しになります。

設定を変える場所

場所さえ覚えれば、変更は30秒で終わります。

バッファサイズの設定は、DAWのオーディオ設定の中にあります。

名称はソフトによって少しずつ違い、デバイス設定、オーディオ設定、環境設定のオーディオ欄などと呼ばれますが、オーディオインターフェイスを選ぶ画面の近くにあると覚えておけば見つかります。

Cubaseの場合は、スタジオ設定からオーディオシステムを開き、使っているインターフェイスのコントロールパネルを呼び出して変更します。

機種によっては、インターフェイス付属の専用アプリ側で数値を変える作りになっているものもあります。

変更したら、そのまま数値をメモしておくことをおすすめします。

「録音の日は128、ミックスの日は1024」のように自分の環境での定位置を一度決めてしまえば、以後は迷いません。設定探しに使う時間は、最初の1回だけで十分です。

快適に鳴る環境が整うと、制作は驚くほど前に進みやすくなります。設定が決まったら、あとは曲作りの工程に集中しましょう。

よくある疑問

バッファサイズとは何ですか

パソコンが音のデータをまとめて処理する量の設定です。サンプルという単位で数え、128や256といった数値で表されます。

バッファサイズはいくつにすればいいですか

録音や打ち込みで演奏する時は小さめ、ミックスなど再生中心の作業では大きめが基本です。1つの数値で全作業をまかなおうとせず、作業ごとに切り替えます。

再生中の音がプチプチ途切れます

バッファサイズを一段大きくします。それでも直らなければ、使っていないプラグインやDAW以外のアプリを閉じて、パソコンの負荷を下げます。

バッファサイズはどこで変えられますか

DAWのオーディオ設定(デバイス設定)の中にあります。オーディオインターフェイスによっては、付属の専用パネルから変更する機種もあります。

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音の遅れや途切れが片付いたら、残りの環境トラブルもまとめて解消しておきましょう。

古賀稔宏のプロフィール写真

プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。