DTMを無料で始める方法

作曲・編曲家 古賀 稔宏
「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。
DTMは、道具をそろえてからでないと始められない、と思われがちです。でも最初の1曲を作る練習だけなら、新しい出費は要りません。今あるパソコンに無料のDAW(音楽制作ソフト)を入れ、手持ちのイヤホンをつなげば、0円でスタートできます。
大事なのは、無料でそろう道具の数を競うことではありません。その環境で音を出し、短く打ち込み、書き出して聞けるか。この一周を無料のまま回せることを、まず確かめます。
先に見ること
無料で始めるなら、道具を増やすより作業の範囲を小さくします。
- 無料DAWを1つ入れる
- 付属の音源だけで作る
- 手持ちのイヤホンで確認する
- 有料は足りなくなってから足す
0円でそろう3つ
0円で始めるのに必要なものは、実はもう手元にあります。
無料でDTMを始めるのに要るのは3つだけです。
- パソコン
- 無料のDAW
- 音を聞くイヤホンかヘッドホン
パソコンとイヤホンはすでに持っている人が多いので、実質はDAWを1本入れるだけで環境が整います。ここまでの費用は0円です。
無料のDAWにもいくつか種類があります。Macに最初から入っているGarageBand、Windowsでも使える無料DAWなど、入門の練習に必要な機能はどれもそろっています。
入手する時は公式サイトから落として、対応OSだけ確認します。
もし手持ちのイヤホンしかなくても、最初はそれで構いません。専用のモニターヘッドホンは、音のバランスを細かく詰める段階で効いてくる道具です。
ゼロから始める入口では、いつも使っているイヤホンで音の高さやリズムが聞き取れれば十分に練習になります。
ここで無料の音源やエフェクトを追加でたくさん入れる必要はありません。DAWには最初から音源が付いてきます。
まずはその付属音源だけで、ピアノやドラムの音を出せます。増やすのは、付属では足りないと感じてからで間に合います。
無料DAWで音を出す
無料の付属音源で、ピアノを1音鳴らすところからです。
無料DAWを開いたら、付属のピアノ音源を選び、マウスで1音置いて鳴らします。イヤホンから音が返れば、無料の環境でも制作は問題なく始められると分かります。
音が鳴らない時は、有料か無料かは関係なく、たいてい音の出口の設定がずれているだけです。
音が出たら、無料のまま4小節だけ打ち込みます。コードが分からなければ、白鍵のド・ミ・ソを重ねて置くだけで十分です。
有料の豪華な音源がなくても、この段階で必要な音は無料の付属音源で全部そろっています。仮の音で進め、良い音探しは後回しにします。
付属音源は、豪華さでは有料の音源に劣りますが、ピアノ、ドラム、ベース、シンセといった役割ごとの音は一通りそろっています。曲の骨組みを作るのに必要な音は、この標準セットでほぼ足ります。
無料の段階では、音の良し悪しより、それぞれの音がどの役割を担うかを耳で覚えることに時間を使います。
無料でどこまで作れるか
無料のままでも、曲の骨組みは最後まで作れます。
結論から言うと、コード、ドラム、ベース、メロディを打ち込んで、1曲の骨組みを書き出すところまでは無料で回せます。無料でできないのは音の豪華さであって、曲の組み立てそのものではありません。
レッスンでも、最初の1曲目はC、Am、Dm、Gの4つのコードを並べるところから始めてもらいます。これは無料の付属音源だけでできますし、ドラムをドンとタンで交互に置くのにも追加購入は要りません。
入口はOSごとに少し違います。Macなら最初から入っているGarageBandを開けば、その日から打ち込みを始められます。Windowsには標準のDAWがないぶん、無料DAWを1本選んで入れるところが最初の作業になります。
どちらの場合も、作った4小節を書き出してスマホで聞けば立派な音源です。この一周を0円で体験しておくと、続けられるかどうかを見きわめられるうえ、後で有料の道具を見た時に、それが自分のどの作業を助けるのかを見分ける目も育ちます。
無料で足りなくなる場所
無料で足りなくなるのは、音の質と作業の速さです。
無料の環境で本当に足りなくなるのは、機能ではなく音の質と手数です。ドラムやピアノの音をもっと本物らしくしたくなった時に、付属音源の物足りなさが気になり始めます。
ここが、有料の音源を考えるサインです。無料の段階では、豪華さより主役と土台が分かれているかを聞きます。
もう一つは入力の速さです。マウスで1音ずつ置くのが遅く感じてきたら、MIDIキーボード(つなぐ鍵盤)が作業を助けます。
歌やギターを録りたくなったら、オーディオインターフェイス(マイクや楽器をつなぐ機材)も要ります。どれも、無料で作れる範囲を一度体験した後で判断すれば十分です。
もう一つ、無料でつまずきやすいのが情報の多さです。無料のプラグインや音源は世の中に山ほどあり、集め始めると管理だけで疲れます。
入門のうちは、DAWに最初から入っているものだけに絞るほうが、迷わず制作に集中できます。
道具の数は、作れる曲の数とは比例しません。むしろ選択肢が少ないほうが、目の前の音に集中できて曲は前に進みます。
0円セットと、その役割
0円でそろう道具と、それぞれが担う役割です。
| 道具 | 費用 | できること |
|---|---|---|
| 今のパソコン | 0円 | DAWを動かす土台になる |
| 無料DAW | 0円 | 打ち込み・保存・書き出し |
| 付属音源 | 0円 | ピアノ・ドラム・ベースの音出し |
| 手持ちイヤホン | 0円 | 作った音の確認 |
| スマホ | 0円 | 書き出した曲を外で聞く |
有料に進むタイミング
無料で一周してから、足りない一点だけにお金を使います。
有料への進み方でよくある失敗は、無料で作り切る前に買い物を始めてしまうことです。まだ何が足りないか分からないうちにそろえると、使わない道具ばかりが増えます。
買い足しは、無料で困った場所が具体的な言葉になってからにします。音源やエフェクトをどの順番で足していくかは、無料プラグインの始め方で詳しく整理しているので、ソフト側の判断はそちらに任せます。
この記事で押さえておきたいのは、ソフトより先に必要になりやすい機材側の判断です。
マウスで1音ずつ置くのが遅いと感じ始めたら、MIDIキーボードの出番です。上手に弾くための道具ではなく、頭の中のフレーズを外へ出す道具なので、鍵盤が苦手でも構いません。
歌やギターを録りたくなったら、オーディオインターフェイスを考えます。裏を返せば、打ち込みだけで進めている間は後回しで大丈夫です。
どちらも基準は、今の制作で何に困っているかです。優先順位は無料で作っている自分の曲が教えてくれるので、人のおすすめより自分が困った順に買うほうが失敗しません。
無料の環境で最初の一周を終えたら、次は曲を長くしていく段階です。音出しから完成までの流れを1枚にまとめた無料の制作工程マップも用意しているので、続きの地図として使ってください。
よくある疑問
本当に0円でDTMを始められますか
パソコンと手持ちのイヤホンがあれば、無料DAWと付属音源だけで0円から始められます。最初の数曲の骨組みは、お金をかけずに作れます。
無料DAWと有料DAWは何が違いますか
大きな違いは音源の量や高度な機能です。音を出す・打ち込む・書き出すという基本は無料でもそろっているので、入門の練習は無料で十分です。
無料のプラグインは入れたほうがいいですか
最初は増やさないほうが迷いません。DAWの付属音源で4小節を作り、物足りなさが具体的に分かってから足すと無駄がありません。
有料に切り替えるタイミングはいつですか
無料で数曲を書き出し、音の質か作業の速さに具体的な不満が出た時です。その一点を解消する道具だけを買えば十分です。
無料配布|アンパンマン劇場版楽曲を手がけた作曲家の「制作工程マップ」
音出し、コード、ドラム、メロディ、アレンジ、フルコーラス完成までの流れを1枚にまとめた無料マップです。登録するとその場でご覧いただけます。
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0円で音が出せたら、無料DAWの選び分けと作り方の全体像へ進みます。