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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

メジャーキーとは

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作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

「この曲のキーは?」と聞かれて答えられない。メジャーキーという言葉は見かけるけれど、「明るい曲のこと?」くらいのイメージで止まっている。DTMを始めたばかりなら、それがむしろ普通です。

メジャーキーを一言でいうと、明るい響きを中心に据えた曲の「調」のことです。そして、誰もが知っているドレミファソラシは、そのままCメジャーキーの材料です。つまり、あなたはすでにメジャーキーの中身を1つ知っています。この事実を入口に、キーが変わると何が変わるのか、マイナーとの聞き分け、最初の曲をCメジャーで作る理由まで話をつなげます。

先に見ること

メジャーキー=明るい響きの調。最初の1つはもう知っています。

  • 世の中の曲は、明るいメジャーキーか、暗いマイナーキーが土台
  • ドレミファソラシは、Cメジャーキーで使う7音そのもの
  • キーが変わると、使う音(黒鍵の数)と曲全体の高さが変わる
  • 最初の曲はCメジャー一択でよい。白鍵だけで完結する

メジャーキーとは:明るい響きの「調」

曲全体にかかる、明るさの設定だと考えてください。

キーは日本語で「調」といい、曲全体がどの音を中心に、どんな性格で回るかを決める設定です。

そのうち、明るくまっすぐな響きを持つものがメジャーキー(長調)、暗く切ない響きを持つものがマイナーキー(短調)です。ポップスのほとんどは、このどちらかを土台にしています。

「明るい」がどんな響きかは、実は説明されるまでもなく知っています。

誕生日に歌うあの定番の歌、朝のテレビから流れる爽やかな曲、運動会の入場曲。迷いなく晴れやかに聞こえる曲は、まずメジャーキーです。理屈より先に、耳が正解を知っている分野だと考えてください。

もう1つ、キーという言葉はカラオケですでに使っています。「キーを2つ下げて」と言う時、曲の性格はそのままに、全体の高さの設定だけをずらしています。

キーとは曲に1つ付いている設定であり、変更もできるもの。この感覚はDTMでもそのまま通用します。

ドレミファソラシは、Cメジャーのこと

新しい暗記はゼロ。知っている並びに名前が付くだけです。

Cメジャーキーの曲で使う7音は、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ。小学校の音楽室で歌ったあの並びが、理論の世界ではCメジャースケールと呼ばれています。

メジャーキーの中身を初めて学ぶというより、もう知っているものに正式な名前が付く、というのが実態です。

確かめ方は簡単です。DAWのピアノロールで、ドから上のドまで白鍵を8つ、階段のように順番に置いて再生してみてください。

上りきってドに着いた瞬間、「きれいに終わった」という感じがするはずです。この、まっすぐで迷いのない完結感こそ、メジャーの響きの正体です。

キーとスケールという2つの言葉の関係が気になった人は、キーとスケールの基本で整理しています。ここでは「Cメジャーキーの曲は、ドレミファソラシの7音を材料にする」とだけ持ち帰れば十分です。

キーが変わると何が変わるか

響きの仕組みは同じまま、使う音と高さが変わります。

メジャーキーはCだけではありません。どの音からでも「メジャーの並び」は作れて、全部で12種類あります。

DやGから始めても、音の間隔を同じに保てば、同じ明るい響きになります。ただしそのためには黒鍵が混ざってきます。主なメジャーキーを比べてみます。

キー中心の音黒鍵の数初心者にとっての扱い
Cメジャー0個白鍵だけ。まずここから
Gメジャー1個(ファ♯)Cの次に触りやすい
Fメジャーファ1個(シ♭)少し落ち着いた高さになる
Dメジャー2個(ファ♯・ド♯)慣れてから

表から分かる通り、キーが変わって最初に変わるのは「使う音の顔ぶれ」です。黒鍵が増えるほど、ピアノロールで置ける場所を覚え直す手間が増えます。

響きの明るさ自体はどのメジャーキーでも同じなので、初心者のうちは黒鍵ゼロのCを選ばない理由がありません。

もう1つ変わるのが、曲全体の高さ、つまり歌いやすさです。同じメロディでも、キーが上がれば全体が高くなり、サビで声が届かなくなることがあります。

逆に下げすぎると低音がつぶれて歌いにくい。キーの選択は理論の問題である前に、「歌う人の声に合うか」という実用の問題です。ここが、キーという概念が制作で本当に効いてくる場面です。

マイナーキーとの聞き分け

終わり方に耳を向けると、区別が付きます。

メジャーキーの反対側にいるのがマイナーキーです。聞き分けの目安はシンプルで、曲がどう着地するかに耳を向けます。

最後に晴れやかに「終わった!」と着地するならメジャー、切なさや影を残して終わるならマイナー。イントロやサビの途中で判断するより、終わりの1音・1コードで判断するほうが外れません。

注意したいのは、明るい曲の中にもマイナーコードは普通に出てくることです。Cメジャーキーの定番進行にもAmやDmが入っています。

コードが1つ暗いからマイナーキー、とはなりません。キーの明暗を決めるのは個々のコードではなく、曲がどこを中心に回っているかです。

切ない曲を作りたくなったら、マイナーキーの出番です。実はAマイナーキーはCメジャーと同じ白鍵だけで作れるので、このページの知識がほぼそのまま使い回せます。

作り方はマイナーキーの曲の作り方で扱っているので、明るい曲を1つ作ってから進んでみてください。

最初の曲をCメジャーで作る理由

上達が早いからではなく、迷う場所が減るからです。

理由の1つ目は、ここまで見てきた通り黒鍵を一切考えなくてよいことです。メロディは白鍵から選び、コードも白鍵を3つ重ねれば作れます。

C・F・Gの3つを4小節に並べて最後をCに戻すだけで、明るい曲の骨組みが鳴ります。選択肢が白鍵の7音に絞られているので、音を外す不安がそもそも小さいのです。

2つ目は、世の中の入門向け解説の多くがCメジャーを例に書かれていることです。

コードの解説も、スケールの図も、Cを前提にしたものがいちばん見つけやすい。自分の作業環境を解説と同じCにそろえておくと、調べたことをそのまま試せます。

3つ目は、キー選びで止まる時間をなくせることです。レッスンで使っている判断メモに「最初の目的は、理論や機能を全部覚えることではなく、自分のパソコンから曲っぽい音が鳴る体験を作ること」というものがあります。

12種類のキーを比較検討する時間は、この最初の体験を遠ざけるだけです。Cと決め打ちして、浮いた時間で4小節鳴らすほうがずっと前に進みます。

「Cだと歌いにくかったらどうするの」という心配は不要です。曲が形になった後で、DAWの移調機能を使えば全体を半音単位で上下にずらせます。

キーは後から引っ越せる設定です。まずCメジャーで4小節、そこからドラムとメロディを重ねて1曲へ育てる流れは、無料の制作工程マップに1枚でまとめています。

よくある疑問

メジャーキーとメジャーコードは同じものですか

別物です。メジャーコードは3音の響き1つのこと、メジャーキーは曲全体の設定のことです。Cメジャーキーの曲の中には、AmやDmといったマイナーコードも普通に出てきます。

明るい曲を作りたいのに暗く聞こえます

キーよりも、コードの選び方と音域を確認してください。AmやEmなどマイナーコードばかり並んでいないか、伴奏が低い音域に集まっていないか。Cで始まりCで終わる進行にすると明るさが戻りやすいです。

キーは曲の途中で変えられますか

変えられます。転調と呼ばれ、ラストのサビで盛り上げる定番の手法です。ただし最初の数曲は、1つのキーで最後まで通すほうが完成させやすいです。

自分の曲のキーが分からなくなりました

曲の最後に置くといちばん落ち着くコードを探してください。Cで終わって明るく着地するならCメジャーキー、Amに戻って切なく終わるならAマイナーキー、というのが実用的な見分け方です。

無料配布|アンパンマン劇場版楽曲を手がけた作曲家の「制作工程マップ」

音出し、コード、ドラム、メロディ、アレンジ、フルコーラス完成までの流れを1枚にまとめた無料マップです。登録するとその場でご覧いただけます。

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キーの意味がつかめたら、Cメジャーの4小節を実際に鳴らす工程へ進みます。

古賀稔宏のプロフィール写真

プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。