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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

ピアノロールの基本

古賀稔宏のプロフィール写真

作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

DAWで打ち込みを始めると、必ずたどり着くのがピアノロールです。左端に鍵盤、右側に方眼紙のようなマス目が広がる画面で、縦の位置が音の高さ、横の位置が時間を表します。

楽譜が読めなくても、マス目に四角を置いていくだけでメロディも伴奏も鳴らせます。

ただ、初めて開くと「どこに何を置けばいいのか」で手が止まりがちです。

画面の読み方、ノートの基本操作、グリッドスナップの意味、和音の積み方を順に押さえて、最後にコード4つだけで最初の8小節を完成させるところまで進みます。

先に見ること

ピアノロールは方眼紙です。読み方が分かれば楽譜より覚えることは少ないです。

  • 縦が音の高さ、横が時間。左端の鍵盤が音の高さの目盛り
  • 操作は置く・伸ばす・動かす・消すの4つで足りる
  • スナップを入れたまま置けば、リズムは勝手にそろう
  • 和音は白鍵1つ飛ばしで3つ積む。C・Am・Dm・Gだけで8小節作れる

画面の読み方:縦が音程、横が時間

左端の鍵盤と上の小節番号。目盛りは2つだけです。

ピアノロールを開くと、左端に縦向きのピアノの鍵盤が並んでいます。これが音の高さの目盛りです。

画面の上へ行くほど高い音、下へ行くほど低い音になります。

鍵盤にはC3、C4のような名前が振られていて、C4のあたりが歌のメロディでよく使う高さです。

横方向は時間です。再生すると左から右へ縦線のカーソルが進み、通過した位置の音が鳴ります。

画面の上端には小節番号が並んでいるので、「3小節目の頭」のような場所が数字で分かります。

音符にあたるのが、ノートと呼ばれる横長の四角です。ノートの縦の位置が音の高さ、左端の位置が鳴り始めるタイミング、横の長さが音の長さを表します。

高い音は上に、長い音は長く描かれる。つまり、見た目がそのまま音の意味です。

楽譜との一番の違いはここです。楽譜は音部記号や調号といった約束事を覚えないと読めませんが、ピアノロールは見たままが全部です。

読み方の学習がほぼ要らないので、DTMから音楽を始める人の最初の画面として向いています。

ノートの基本操作は4つ

置く、伸ばす、動かす、消す。全部あとから直せます。

操作の1つ目は「置く」です。鉛筆ツールを選んでマス目をクリックすると、その位置にノートが1つ生まれます。

DAWによってはダブルクリックで置けるものもあります。

2つ目は「伸ばす」です。ノートの右端にマウスを近づけるとカーソルの形が変わり、そのままドラッグすると長さを変えられます。

同じ高さの音でも、短く切ると歯切れよく、小節いっぱいに伸ばすとゆったりした響きになります。

3つ目は「動かす」です。ノートの真ん中をつかんでドラッグすると、上下で音の高さ、左右でタイミングが変わります。

ここが楽器の演奏との決定的な違いで、一度出した音をあとから別の高さに差し替えられます。「なんか違う」と感じたら、半音ずつ上下に動かして聞き比べればいいのです。

4つ目は「消す」です。ノートをクリックして選び、Deleteキーで削除します。

消しても何も失われません。この4つの操作はどれも取り消しが効くので、間違いを恐れる理由が最初からない画面だと考えてください。

置いたら必ず再生して耳で確かめます。目で見て正しそうでも、鳴らすと違うことはよくあります。

置く、聞く、直す。この往復がピアノロールの基本のリズムです。

グリッドスナップ:マス目に吸い付く仕組み

スナップが入っていれば、リズムは崩れようがありません。

ピアノロールのマス目のことをグリッドと呼びます。そしてスナップは、ノートを置いたり動かしたりした時に、位置が自動でグリッドの線にぴったりそろう吸着機能です。

スナップが有効なら、マウス操作が多少雑でも、音は正確な拍の位置に収まります。

グリッドの細かさは自分で選びます。1/4なら1小節を4分割、1/8なら8分割、1/16なら16分割です。

音楽の言葉でいう4分音符、8分音符、16分音符の間隔に対応しています。

数字が大きいほどマス目が細かくなり、細かいリズムを置けるようになります。

どれにすべきか迷ったら1/8にしておきます。

多くのメロディや伴奏は8分音符の間隔で書けるからです。もっと細かい動きが必要になった時だけ1/16へ切り替えます。

スナップは切ることもできますが、最初のうちは入れたままにしてください。

自由な位置に置けることは、慣れないうちは「どこに置いてもリズムが決まらない」ことと同じ意味になります。タイミングを少しずらして表情を付けるのは、そろった状態を作れるようになってからで十分です。

グリッド値の使い分け表

何を打ち込むかで、マス目の細かさを切り替えます。

グリッド値1小節の分割向いている入力
1/11小節まるごとコードやパッドを小節いっぱいに伸ばす白玉
1/44分割ベースのルート弾き、ゆったりしたメロディ
1/88分割ふつうのメロディ、8ビートのハイハット
1/1616分割速いフレーズ、ドラムの細かい装飾

和音の置き方:白鍵1つ飛ばしで積む

同じ横位置に、縦へ3つ。間隔は数えず形で覚えます。

和音は、同じタイミングに複数のノートを縦に積むと鳴ります。難しく考える必要はなく、置き方には型があります。

左端の鍵盤で白鍵だけを見て、1つ飛ばしに3つ積む。これだけです。

ドから積むと、ド・ミ・ソでCというコードになります。

  • ラから積めばラ・ド・ミでAm
  • レから積めばレ・ファ・ラでDm
  • ソから積めばソ・シ・レでG

どれも「白鍵を1つ飛ばしに3つ」という同じ形なので、間隔をいちいち数えずに置けます。

置く時のコツは、下の音から順に積むことです。一番下の音がコードの名前になる音(ルート)なので、まず土台を置いてから上に2つ重ねると迷いません。

3つ置いたら再生して、濁らずに響くかを耳で確かめます。

長さは、まず小節いっぱいに伸ばした白玉で構いません。グリッドを1/1にしておけば、クリックひとつで小節ちょうどの長さに置けます。

和音を刻みたくなったら、あとから短く切り直せばいいだけです。

最初の8小節をピアノロールだけで作る

コード4つ、ベース、メロディ。3階建てで組みます。

ここまでの操作を全部使って、8小節を作ってみます。レッスンで最初の1曲に勧めているのは、C・Am・Dm・Gの4つのコードを4小節に並べるだけの土台です。

理論を全部覚えてから始めるより、まず鳴らして曲っぽい土台を作るほうが先へ進めます。

手順1。グリッドを1/1にして、1小節目にC(ド・ミ・ソ)、2小節目にAm、3小節目にDm、4小節目にGを白玉で置きます。

4小節できたら、全部を選択してコピーし、5小節目以降に貼り付ければ8小節です。

手順2。グリッドを1/4に切り替えて、低い音域にベースを足します。各小節のコードの一番下の音を、1〜2オクターブ下で4回ずつ刻むだけです。

Cの小節なら低いドを4つ。これだけで急に曲らしい前進感が出ます。

手順3。グリッドを1/8にして、高い音域にメロディを足します。白鍵だけを使えば、この4つのコードの上では大きく外れません。

2小節作って、残りはコピーして少しだけ変える。それで十分です。

再生して、3つの層が一緒に鳴っていれば完成です。

ここで作った8小節は、ドラムを足し、展開を付けて1曲へ育てていく出発点になります。その先の順番は、下の制作工程マップに1枚でまとめています。

よくある疑問

楽譜が読めなくてもピアノロールは使えますか

使えます。ピアノロールは高い音が上、長い音が長い四角として見たまま表示されるので、記号の約束事を覚える楽譜より覚えることが少ない画面です。

グリッドの細かさはどれにすればいいですか

迷ったら1/8にします。コードを小節いっぱいに伸ばす時は1/1、ベースは1/4、細かいフレーズだけ1/16に切り替える、という使い分けが目安です。

和音の音の間隔はどう決めればいいですか

最初は白鍵を1つ飛ばしに3つ積みます。ドから積めばド・ミ・ソでC、ラから積めばラ・ド・ミでAmになり、間隔を数えなくても形で置けます。

ノートを置いたのに音が鳴りません

トラックにソフト音源が読み込まれているか、トラックがミュートになっていないかを確認します。曲全体の音が出ない場合は出力設定側の問題です。

無料配布|アンパンマン劇場版楽曲を手がけた作曲家の「制作工程マップ」

音出し、コード、ドラム、メロディ、アレンジ、フルコーラス完成までの流れを1枚にまとめた無料マップです。登録するとその場でご覧いただけます。

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ノートが置けるようになったら、置く中身の作り方へ進みます。

古賀稔宏のプロフィール写真

プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。

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