コード進行はC-Am-Dm-Gから始めていい

作曲・編曲家 古賀 稔宏
「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。
最初のコード進行を探して、コードブックを何ページもめくっていませんか。答えを先に言うと、C-Am-Dm-Gの4つだけで足ります。しかもこの4つは、丸暗記するというより、1つずつの性格を知るだけで使い分けられます。
このページでは、コード進行の一般論ではなく、この4つのコードそのものを掘り下げます。1つずつの響きの違い、順番を入れ替えたときの変化、この4つだけで形になる曲、飽きたときに最初に足すと良いコード。譜面は使いません。
先に見ること
C-Am-Dm-Gは、4つの性格を覚えれば並べ替えて使えます。
- Cは明るい家、Amはその裏の切ない顔、Dmは陰りと橋渡し、Gは帰りたくなる合図
- 同じ4つでも、どれから始めてどれで締めるかで表情が変わる
- この4つだけで、弾き語りからループBGMまで作れる
- 物足りなくなったら、最初に足すコードはF
なぜこの4つを選ぶのか
たくさんある中からこの4つに決める理由は、役割の違いにあります。
Cキーで自然に使えるコードはいくつもありますが、その中でこの4つに絞るのには理由があります。C・Am・Dm・Gは、それぞれ別々の役割を持っていて、4つそろうと「出発・陰り・緊張・帰着」という起伏がひととおり作れるからです。
役割が重ならないので、少ない枚数でも景色が単調になりません。
もう1つの理由は、4つとも白鍵だけで鳴らせることです。すべてCキーのダイアトニックコード、つまりそのキーの中で無理なく使えるコードのセットに入っています。
黒鍵を押さえる必要がないので、鍵盤が苦手でもピアノロールに点を置くだけで音になります。ダイアトニックの全体像はコード進行の作り方にまとめています。
レッスンでも、1曲目はまずC・Am・Dm・Gを4小節に並べるところから始めてもらいます。理論を先に全部覚えるより、鳴らして「曲っぽい」を体験するほうが早いからです。
この4つはその出発点として、長く王道として使われてきた並びでもあります。C-Am-Dm-Gを最初の基準に据えると、あとで別のコードを試すときも「これより明るいか、切ないか」と比べられます。
4つのコード、1つずつの性格
並べ方を耳で選ぶ前に、1枚ずつの顔を知っておきます。
コードは、3つの音を同時に鳴らしたものです。まずは4つの中身と、それぞれが持つ性格を表で見ます。
構成音はすべて白鍵なので、そのまま3音を縦に積めば音が出ます。
| コード | 構成音 | ひとことの性格 | 曲の中の役目 |
|---|---|---|---|
| C | ド・ミ・ソ | 明るい・まっすぐ | 出発点であり、帰ってくる家 |
| Am | ラ・ド・ミ | 切ない・陰のある | Cの裏の顔。白鍵のまま影を作る |
| Dm | レ・ファ・ラ | 少し曇る・内向き | 場面を次へ動かす橋渡し |
| G | ソ・シ・レ | そわそわ・進みたい | Cへ帰る直前の合図 |
Cは、この4つの中で最も安定して聞こえるコードです。曲の始まりに置くと素直に走り出し、終わりに置くと落ち着きます。
迷ったらCで始めてCで締める、と決めておくだけで、大きく外すことがなくなります。
おもしろいのはAmです。CとAmは、構成音のうちド・ミの2つが共通していて、違うのはたった1音、ソかラかだけです。
それなのに、Cの明るさがAmでは切なさに反転します。1音違うだけで表情が裏返るこの関係が、明るい曲にも切ない曲にも同じ4つで対応できる理由になっています。
Dmは、単体で鳴らすと少し地味に聞こえます。ただ、この地味さが橋渡しに向いています。
明るいCから、緊張するGへ一気に飛ぶより、あいだにDmを挟むと流れがなめらかになります。主役というより、場面を次へ運ぶ係だと考えると使いどころが見えます。
Gは、構成音のシの音がドへ上がりたがる性質を持っています。だからGの次にCが来ると、宙に浮いた気分が着地して「帰ってきた」と感じます。
この引っ張りがあるので、Gは締めの一歩手前が定位置です。逆に、Gで終わらせると続きを期待させる余韻が残ります。
順番を入れ替えたバリエーション
コードを増やさなくても、並べ替えるだけで表情は変わります。
4つの性格が分かると、次は並べ替えで遊べます。同じC・Am・Dm・Gでも、どれから始めてどれで締めるかを変えるだけで、印象がはっきり動きます。
代表的な並べ替えを表にします。度数は、Cを1として数えたコードの位置です。
| 並び | 度数 | 始まりと締めの印象 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| C→Am→Dm→G | 1→6→2→5 | 明るく出て、続きを期待させて終わる | いちばん素直な王道 |
| Am→Dm→G→C | 6→2→5→1 | 切なく始まり、最後のCで晴れる | しっとり聞かせたい時 |
| C→G→Am→Dm | 1→5→6→2 | 力強く出て、少し陰って終わる | アップテンポで押す時 |
| Dm→G→C→Am | 2→5→1→6 | 宙ぶらりんから解決し、また陰る | Bメロのような繋ぎに |
並べ替えで効くのは、始まりのコードと締めのコードです。Amから始めると出だしに影が差し、Cから始めると明るく出ます。
締めをCにすると落ち着き、Amで終えると切ない余韻が残ります。この2か所を意識するだけで、4つでも何通りもの表情が作れます。
試すときは、変える前と後を続けてループ再生して聞き比べます。頭で「6番目から始めると切ない」と覚えるより、Am始まりを一度鳴らして「たしかに沈んで出る」と耳で確かめるほうが、身につくのが早いです。
並べ替えを一周してから、次のコードへ進んでも遅くありません。
この4つだけでできる曲
同じ4つが、乗せる楽器とテンポでまるで別の曲になります。
4つしかないと物足りなく思うかもしれませんが、コードは骨組みで、曲の顔を決めるのは上に乗せる要素です。C-Am-Dm-Gという土台は変えずに、テンポと楽器を替えるだけで、行き先の違う曲がいくつも作れます。
具体的な作り分けを挙げます。
ゆっくりしたテンポでピアノを1小節ずつ長く伸ばし、最後をCで締めると、弾き語りやバラードの土台になります。同じ4つを速めのテンポにして、8ビートのドラムを足せば、アニメソング寄りの前向きな曲に寄ります。
テンポと楽器という2つを替えるだけで、しっとりからにぎやかまで幅が出ます。
ドラムと組み合わせて短くループさせれば、作業用やゲームのループBGMにもなります。この場合はメロディを目立たせすぎず、4つの流れをそのまま回すのがコツです。
反対に、白鍵だけで鼻歌のメロディを乗せていけば、童謡のようなシンプルな歌ものになります。
この4つの並びは、度数でいう1→6→2→5にあたり、昔からたくさんの曲で土台に使われてきました。特別で珍しいものではなく、だからこそ安心して借りられます。
1つの型を使い倒すと、コードとメロディの関係が体でつかめてきます。増やすのはそのあとで十分です。
ここから1つ足すならF
4つに慣れたら、まず1枚だけ足します。全部作り直す必要はありません。
C-Am-Dm-Gを使い込んで耳が慣れてきたら、最初に足すコードとしておすすめなのがFです。理由ははっきりしていて、C・F・GはCキーの中心になる3つのコードだからです。
すでに手元にあるCとGに、残りの1本であるFが加わると、この土台がぐっと完成形に近づきます。
Fの性格は「広がる感じ」です。構成音はファ・ラ・ドで、これも白鍵だけ。
Fを足すと、C→F→Gという明るく開けた流れや、Am→Fという少し切なく広がる動きが使えるようになります。たとえばDmをFに入れ替えれば、同じ位置がより明るく前向きに変わります。
1か所替えるだけで景色が動くのを確かめてみてください。
もう1つ、静かな切なさが欲しいときはEmも合います。Emはミ・ソ・シで、Amより控えめに沈む響きです。
ただ、まずはFを1枚だけ足して、5つの手札で遊ぶ。慣れてからEmや、さらに先のコードへ広げる。この1枚ずつの積み上げが、王道進行を自分のコード進行に育てる近道です。
作った土台の上にメロディやドラムを重ねて1曲へ広げる順番は、無料の制作工程マップに1枚でまとめています。
よくある疑問
C-Am-Dm-Gの4つはそれぞれどんな性格ですか
Cは明るくまっすぐな家、Amはその裏の顔で切なさを担当します。Dmは場面を次へ動かす橋渡し、Gはドへ上がりたがる音を持つので、Cへ帰る直前の合図になります。4つの性格を覚えると、並べる順番を耳で選べるようになります。
同じ4つに飽きたら何を変えればいいですか
まずは順番だけを入れ替えます。Amから始めると切なく出て最後のCで晴れ、Cから始めると明るく出ます。締めのコードをCにするかAmにするかでも余韻が変わります。コードを増やす前に、この並べ替えで表情を出し切るのが近道です。
4つの次に足すなら、どのコードがいいですか
最初に足すならFがおすすめです。C・F・GはCキーの中心になる3つで、Fが加わるとC→F→GやAm→Fが使え、明るい広がりが出ます。静かな切なさが欲しいときはEmも合います。どちらもCキーのダイアトニックコードなので白鍵だけで鳴らせます。
本当にC-Am-Dm-Gの4つだけで曲になりますか
なります。1小節ずつ並べてループし、上にメロディとドラムを重ねれば、弾き語りからループBGMまで形になります。テンポと楽器を変えるだけで、同じ4つがバラードにもアップテンポの曲にも化けます。
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