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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

曲の終わり方の作り方

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作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

曲の最後は、聞き終えたあとの印象を決めます。どれだけ良いサビでも、終わり方が唐突だと、ぶつっと切れた感じだけが残ります。逆に、うまく閉じると、もう一度最初から聞きたくなります。

曲の終わり、つまり後奏の部分を、アウトロと呼びます。ここには、フェードアウト、最後の一発でジャーンと切る、だんだん遅くして止まる、といったいくつかの型があります。代表的な終わり方の型と選び方、そして余韻の残し方までを、順に整理します。

先に見ること

エンディングは曲の後味。急に切らず、閉じたと感じさせます。

  • フェードアウト、ジャーンと切る、だんだん遅くする、から一つ選ぶ
  • 最後の2小節は音数を減らし、着地する場所を作る
  • イントロと対にすると、一周して閉じた感じが出る
  • 余韻は、最後の音が消えるまでを終わりに含める

終わり方は曲の後味

増やすより、手放していく区間です。

曲の終わり方の仕事は、聞き手に「ここで終わった」と納得してもらうことです。話でいえば、最後のひと言にあたります。

途中で口をつぐんだような終わり方だと、続きがあるのかと落ち着きません。着地したと感じてもらえると、曲がひとまとまりに聞こえます。

エンディングは、新しい聞かせどころを作る場所ではありません。むしろ、鳴っていた音を少しずつ手放していく区間です。

サビで全部鳴らしていたなら、終わりへ向けて楽器を一つずつ抜いていく。増やすより減らすほうが、閉じる感じに近づきます。

初心者がつまずきやすいのは、ループをそのまま最後で切ってしまう時です。同じ8小節をくり返して、時間が来たから止める。

これだと、終わったというより再生が止まっただけに聞こえます。終わり方には、止まるための助走がいります。

だから最初に決めるのは、どう派手にするかではありません。どうやって静かに着地させるか、です。

最後の数小節で何を手放すかを決めると、終わり方の形が見えてきます。

代表的な終わり方の型

まずは三つの型から一つ選びます。

終わり方には、よく使われる型がいくつかあります。一つ目はフェードアウトです。

曲の音量を少しずつ下げて、聞こえなくなるまで消していきます。くり返しのサビをそのまま小さくしていけるので、はっきりした終止形を作らなくても自然に終われます。

二つ目は、最後の一発でジャーンと切る終わり方です。最後のコードを全員でそろえて鳴らし、すぱっと止める。

はっきり終わった感じが出て、アップテンポの曲やバンドものに合います。全員のタイミングをそろえるほど、切れ味が出ます。

三つ目は、だんだん遅くして止まる終わり方です。曲の速さを最後だけ少しずつ落としていきます。

音楽ではこれをリタルダンドと呼びます。バラードやピアノ中心の曲で、最後の一音へゆっくり着地したい時に向いています。

どの型でも共通するのは、最後の2小節で音数を減らすことです。鳴っている音を間引き、最後のコードを長めに伸ばす。

伸ばした一音を置く場所があると、どの型でも「閉じた」と伝わりやすくなります。

終わり方の型早見表

曲の雰囲気に合う行を一つ選びます。

終わり方やり方向いている曲
フェードアウトサビをくり返しながら音量を下げて消す終止を作りにくい曲、ダンス系
ジャーンと切る最後のコードをそろえて鳴らし止めるアップテンポ、バンドもの
だんだん遅く最後だけテンポを落として着地するバラード、ピアノもの
イントロと対に冒頭の素材をもう一度出して閉じるまとまりを出したい曲
余韻で残す最後の一音や残響だけを長く残す静かな曲、映像向け

好きな曲の終わり方を借りる

迷ったら、似た曲の最後を聞き直します。

どの終わり方が曲に合うか迷ったら、好きな曲の最後を聞き直すのがいちばん早いです。似た雰囲気の曲を一つ選び、最後の十数秒だけをくり返し聞きます。

フェードで消えるのか、一発で切るのか、遅くなって止まるのか。答えはたいてい、参考にした曲の中にあります。

レッスンで使っている判断メモに、リファレンス(参考曲)は、まねるためだけでなく、どんな楽器を使うか、どこで密度が上がり、どこで休むかを決める材料になる、というものがあります。終わり方でいえば、参考曲がどこから音を抜き始め、最後に何を残しているかが、そのまま設計図になります。

聞く時は、楽器を一つずつ追いかけます。

  • ドラムはどこで止まったか。
  • ベースは最後まで鳴っていたか。
  • 歌は伸ばして終わったか、言い切って終わったか。

全部を一度に聞かず、一回に一つの楽器だけ追うと、終わり方の仕組みが見えてきます。

参考曲は一曲に絞らず、二、三曲の終わり方を聞き比べると、型の違いがはっきりします。同じバラードでも、遅くして止まる曲と、最後の一音を長く伸ばして消える曲があります。

違いが分かると、自分の曲にどちらが合うかを選べるようになります。

見つけた形は、そのまま自分の曲に移せます。ドラムを2小節前で止める、最後のコードだけ全員で伸ばす。

参考曲の終わり方を一つ借りてくるところから始めると、ゼロで悩まずにすみます。

イントロと対にして閉じる

始まりと同じ材料で、輪のように閉じます。

まとまりのある終わり方にしたい時に使いやすいのが、イントロと対にする方法です。曲の頭で鳴らしたフレーズやコードを、最後にもう一度出します。

始まりと終わりが同じ材料になると、一周して戻ってきた感じが生まれ、曲がひとつの輪のように閉じます。

そのまま同じに戻すより、少し変えると余韻が出ます。イントロは楽器をそろえて鳴らしたなら、終わりは一つの楽器だけで静かになぞる。

同じフレーズでも、薄く鳴らすと「これで終わり」という寂しさが乗ります。

終わり方でもう一つ大事なのが、余韻です。最後の音を切った瞬間で曲が終わるわけではありません。

残響が消えるまでが終わりです。最後のコードやシンバルの残響を早く切りすぎると、そっけない印象になります。

音が自然に消えるまで、少し待つ長さを残します。

余韻の長さは、書き出して確かめます。最後の音が消えたあと、無音が長すぎないか、短すぎないか。

曲の最後に一秒ほどの静けさを残すだけで、聞き終えたあとの余韻が変わります。

唐突に切れてしまう時

着地の助走が足りているかを見ます。

終わりがどうしても唐突な時は、たいてい着地の助走が足りていません。最後のサビが全開のまま、次の小節でいきなり止まっている状態です。

まず、終わる2小節前から音を抜き始めて、止まる準備を作ります。

それでも急に感じるなら、最後のコードの長さを見ます。ほかのコードと同じ長さで切っていると、まだ続きそうな途中で止まったように聞こえます。

最後のコードだけ二倍ほど長く伸ばすと、ここで終わりだと伝わります。

逆に、終わり方が長くだらだら続く時は、抜きすぎか、くり返しすぎです。閉じるための小節が多すぎると、終わったのになかなか終わらない印象になります。

フェードなら早めに消し始め、切る型なら助走を2小節までに収めます。

最後は、曲の頭から通して聞いて、終わり方だけをメモします。途中で判断せず、全部再生してから、切れ方が急か、長いか、ちょうどよいかを一つだけ書き留めます。

終わり方が決まったら、次は全体の並びを見直します。曲全体の組み立ては制作工程マップに1枚でまとめています。

よくある疑問

終わり方はどの型を選べばいいですか

曲の雰囲気に合わせて選びます。はっきり締めたいアップテンポの曲は最後の一発で切る、静かな曲はだんだん遅くする、締めを作りにくい曲はフェードアウト、が目安です。迷ったら似た曲の終わり方をまねます。

フェードアウトは手抜きですか

いいえ。明確な終止形を作りにくい曲を自然に閉じられる、れっきとした型です。ただし消し始めが遅いと間延びするので、サビの繰り返しに入ったら早めに下げ始めます。

最後のコードは何を鳴らせばいいですか

多くの曲では、キーの中心になるコード(CキーならC)に戻すと落ち着きます。最後のコードを長めに伸ばし、まわりの音を抜くと、着地した感じが出ます。

アウトロとエンディングは違いますか

ほぼ同じ意味で使われます。厳密にはアウトロは歌のあとの後奏部分、エンディングは曲の締めくくり全体を指しますが、初心者のうちは同じ曲の終わり方として考えて問題ありません。

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プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。

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