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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

DTM初心者の30分練習メニュー|毎日何を作ればいいか

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作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

1日30分あれば、DTMの練習は1回分として十分に成立します。問題は長さではなく配分です。

何をやるか決めずにDAWの前に座ると、音色を探しているだけで30分が終わります。

そこで、5分・20分・5分に割る基本形と、作曲日・打ち込み日・ミックス日の3パターンの時間割を用意しました。30分で切り上げる工夫と1週間の組み方まで、今夜からそのまま使える形で書きます。

時間割の軸

30分練習の基本形は「5分聞く、20分作る、5分閉じる」です。

  • 最初の5分:昨日の書き出しを聞いて、今日の一手を決める
  • 真ん中の20分:決めた一手だけを作る
  • 最後の5分:保存と書き出し、明日の自分に1行メモ
  • 日によって作曲・打ち込み・ミックスのメニューを替える

30分の基本形:5分・20分・5分

真ん中の20分に入る前に、今日の一手を1つに絞ります。

30分は、5分、20分、5分の3つに割ります。

最初の5分は、昨日書き出した音源か前回のプロジェクトを開いて、通しで聞く時間です。ここで今日直す場所、または今日作る範囲を1つだけ決めます。

真ん中の20分は、その一手だけを作ります。最後の5分は保存と書き出し、そして「サビ前のドラムが重い」のような明日の自分あての1行メモです。

この形の狙いは、作業を始める前に完成形の小さいゴールを決めることにあります。今日どこまで作るかが見えないまま細部を触ると、作業は増えても曲は進みにくい。

レッスンでも制作の判断軸にしている考え方で、30分練習では最初の5分がこのゴール決めにあたります。

最後の5分のメモは、翌日の最初の5分とつながっています。今日残した1行が、明日「何をしようか」と迷う時間を消してくれます。

30分練習が毎日続くかどうかは、この両端の10分をきちんと取るかでほぼ決まります。

3パターンの時間割

その日の目的に合わせて、3列のどれかを選びます。

時間作曲日打ち込み日ミックス日
最初の5分前回の8小節を聞き、続きを作るか作り直すか決める磨きたいパートをソロ(1トラックだけ再生)で聞く同じ曲をヘッドホンとスマホで聞き比べる
真ん中の20分コード4小節とドラム1小節を新しく置く1パートだけ強弱とタイミングを直すフェーダーだけで主役を前に出す
最後の5分保存して書き出し、気になった点を1行メモ修正前と後を聞き比べて、変化をメモ書き出して、明日の耳で聞く用に置いておく

作曲日のメニュー:新しい8小節を置く日

音色は仮のまま、20分で音を増やすことに集中します。

作曲日の20分では、コードを4つ選んで4小節に並べ、その上にドラムを1小節置きます。

音色は仮で構いません。ピアノとありもののドラムキットで鳴っていれば、その日は前に進んでいます。

20分で8小節まで行けたら上出来で、4小節で終わっても練習としては十分に成立します。

作曲日で時間を食うのは音選びです。対策として、使う音源を先に立ち上げたテンプレートを一度作っておきます。

ドラム、ベース、鍵盤のトラックが最初から並んだプロジェクトを用意しておくと、開いた瞬間から音を置き始められます。入口を軽くする準備は、練習時間の外で一度だけ済ませておく価値があります。

最後の5分の書き出しは、作曲日こそ省かないでください。スマホに入れて翌日の耳で聞くと、DAWの前では気づかなかった粗と良さが両方見つかり、それが次の作曲日の最初の5分の材料になります。

打ち込み日のメニュー:ある8小節を磨く日

新しく作らず、1パートだけを演奏に近づけます。

打ち込み日は、すでにある8小節の中身を実際の演奏に近づける日です。最初の5分で、磨くパートを1つだけ選びます。

全部やろうとしないことが、この日の唯一のルールです。1パートに絞るから、20分で目に見える変化まで届きます。

ドラムを選んだなら、ベロシティ(音の強さの値)に強弱を付けます。ハイハットを全体に少し弱く、スネアの直前の1発をさらに弱く。

これだけで機械的な反復が演奏らしくなります。

ベースなら音の長さを見ます。全部の音が同じ長さでつながっていると重く聞こえるので、フレーズの切れ目で短く切る場所を作ります。

最後の5分では、修正前と修正後を聞き比べます。打ち込み日の変化は地味なので、比べないと成果が分かりません。

逆に比べさえすれば20分の効果がはっきり聞こえて、この練習を続ける理由になります。

ミックス日のメニュー:音量の整理だけやる日

エフェクトは使わず、フェーダーの上げ下げに絞ります。

ミックス日といっても、エフェクトを触る日ではありません。音量の上下だけで曲を整える日です。

最初の5分で、同じ曲をヘッドホンとスマホのスピーカーで聞き比べ、気になる差を1つ選びます。スマホだと歌が埋もれる、低音だけ大きく聞こえる、といった差です。

20分では、フェーダー(各トラックの音量つまみ)だけを動かします。主役にしたいメロディや歌を決めて、それ以外を少しずつ下げる。

全部を上げると元のバランスに戻るだけなので、調整は下げる方向でやります。EQやコンプレッサーは、フェーダーだけで整えた曲を何曲か作ったあとに足しても遅くありません。

始めたばかりの時期は、ミックス日は週1回で十分です。磨く材料になる曲がまだ少ないうちは、作曲日と打ち込み日に30分を多く回すほうが、結果としてミックスの練習材料も早く増えます。

30分で終えるための工夫

切り上げる仕組みを先に作ると、翌日も開けます。

タイマーを25分にかけてください。鳴ったら作るのをやめて、保存とメモの5分に入ります。

区切りの悪い場所で終わっても構いません。むしろ途中で終わった作業は、翌日DAWを開く理由になってくれます。

音色探しは30分の外に出します。20分の途中で音色に迷ったら、仮の音のまま先へ進み、メモに「ベースの音を差し替えたい」と書いて終えます。

差し替え候補をゆっくり探すのは、練習とは別の、時間に余裕がある日の楽しみに回します。

乗ってきた日ほど延長したくなりますが、30分で切り上げる方を勧めます。延長した翌日は反動でDAWを開かなくなりやすく、練習は1日の出来の良さより、間隔を空けないことの方が効きます。

少し物足りないくらいで閉じるのが、明日も開くコツです。

1週間の組み方

「作る、磨く、整える」が週で一周する形にします。

平日に毎日30分取れるなら、月・火を作曲日、水・木を打ち込み日、金をミックス日にすると、1週間で「作って、磨いて、整える」が一周します。土日はどれかの続きでもいいですし、書き出した曲をまとめて聞き返すだけの日にしても構いません。

毎日は無理な週もあります。その時は、練習を最初の5分だけに縮めてください。

DAWは楽器と同じで、触る時間の積み重ねで慣れていきます。1日5分でも、開いて昨日の続きを聞けばその日の練習になります。

週1回まとめて3時間より、毎日の5分の方が、操作の記憶も曲の記憶も残ります。

慣れてきたら、曜日で固定せず「今の曲に必要な日」を選ぶ形に移ります。8小節ができたらメロディを乗せる作曲日を増やし、ワンコーラスができたら打ち込み日で磨く。

30分をどこに使うか迷い始めたら、それは曲が進んでいる証拠です。自分が全体のどこにいるかは、音出しからフルコーラス完成までを1枚にした制作工程マップで確認できます。

よくある疑問

30分も取れない日はどうすればいいですか

最初の5分だけやってください。昨日の書き出しを聞いてメモを1行残せば、その日の練習として成立します。間隔を空けないことがいちばん大事です。

20分で今日の一手が終わりません

一手が大きすぎるサインです。8小節なら4小節に、1パート全部なら4小節ぶんに半分にします。終わらなかった分は延長せず、メモに書いて翌日に回します。

毎日同じメニューでもいいですか

作曲日が続いても問題ありません。ただ、書き出した曲がたまってきたら打ち込み日とミックス日を混ぜると、同じ30分で耳の練習もできるようになります。

30分を朝と夜に分けてもいいですか

分けて構いません。聞く5分を朝、作る20分と保存を夜、のような割り方でも流れは保てます。保存と1行メモだけは、作った直後に必ずセットで行ってください。

無料配布|アンパンマン劇場版楽曲を手がけた作曲家の「制作工程マップ」

音出し、コード、ドラム、メロディ、アレンジ、フルコーラス完成までの流れを1枚にまとめた無料マップです。登録するとその場でご覧いただけます。

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プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。