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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

DTM独学の限界を感じた時に見直す3つのこと

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作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

ここまでは独学でやってこられた。DAWも操作できるし、短い曲なら作れる。それなのに、最近ずっと同じ場所で足踏みしている気がする。これが独学の限界というやつなのか。

その感覚は、やめるサインではありません。ただし、今までと同じやり方で情報だけ増やしても抜けにくい場所に来ているのは確かです。この記事では、限界に見えるものの正体を分解して、独学のまま見直せること、そして外の目を借りたほうが早い場合の見分け方まで書きます。

先に見ること

限界の正体を、直せる場所まで分解します。

  • 独学の限界は情報不足ではなく、順番と判断の不足で起きる
  • 曲が止まる原因はドラム、コード、メロディの3か所にほぼ絞れる
  • 完成形を決めずに細部を触る作業をやめる
  • 複数の工程で同時に止まったら、外の目を入れる合図

限界の正体は情報不足ではない

知識は足りています。詰まっているのは別の場所です。

独学の限界を感じている人の手元には、たいてい情報が山ほどあります。ブックマークした解説記事、見終わったチュートリアル動画、買ったままの教則本。

それでも進まないなら、原因は情報の量ではありません。足りないのは、その情報をどの順番で使うかと、今の自分の曲に必要かどうかの判断です。

独学とは、教材が無い状態のことではなく、この順番と判断を全部自分で引き受ける学び方のことです。始めたばかりの頃は選択肢が少ないので迷いませんが、知識が増えるほど選択肢も増え、判断の負担が重くなります。

中級の入口で限界を感じる人が多いのは、実力が頭打ちになったからではなく、判断する量が増えて処理しきれなくなったからです。

だから、ここから必要なのは新しい情報ではなく、判断を減らす見直しです。次の3つを順に確かめてください。

見直し1:止まった場所を3か所から探す

行き詰まりの原因は、ほぼ3つに絞れます。

作りかけの曲が進まない時、レッスンで使っている切り分け方があります。途中で止まる原因は、ほぼ3つしかありません。ドラムで止まるか、コードで止まるか、メロディが乗せられなくて終わるかです。

今できているところまでを再生して聞けば、この3つのどれが欠けているかは自分でも判別できます。

ドラムで止まっているなら、リズムが単調で曲が前に進まない感覚が残ります。コードで止まっているなら、4小節や8小節から先の展開が作れません。

メロディで止まっているなら、土台は鳴っているのに主役が決まらないまま再生だけを繰り返しています。

「独学の限界」という大きな言葉を、この3か所のどれかまで縮めてください。全部が限界なのではなく、欠けている1つを埋めれば、また進み始めることがほとんどです。

1か所に絞れたら、そこだけを扱う記事や動画を探せばいい。これは独学のままできる見直しです。

見直し2:完成形の見えない作業をやめる

頑張っているのに進まない時は、ゴールが消えています。

限界を感じている時期の作業ログを振り返ると、音色を差し替え続けた日、同じ4小節を微調整し続けた日が並んでいないでしょうか。手は動いているのに、曲は進んでいない状態です。

制作の現場で大事にしている考え方に、0から10が見えないまま1、2、3をやらないというものがあります。今日の作業を始める前に、8小節なのか、90秒なのか、フルコーラスなのか、完成形の小さいゴールを先に決める。それが見えないまま細部を触ると、作業量だけが増えて曲は進みません。

見直し方は単純です。DAWを開く前に、「今日はどの形まで持っていくか」を一言で決めてから触る。

決められないなら、それは腕の限界ではなく、曲の完成形をまだ選んでいないだけです。1曲を組み立てる流れ自体を確認したい時は、曲を作る順番の記事が地図になります。

見直し3:情報を増やすのを一度やめる

詰まった時の教材買い足しは、たいてい逆に効きます。

行き詰まると、新しい教材や機材、プラグインを足したくなります。ですが、判断の量が限界の原因だとすると、入力を増やすことは限界を深くする方向に働きます

選択肢が増えるほど、1つの作業に付く迷いも増えるからです。

おすすめは逆方向です。期間を決めて、使う道具と参照する情報を今持っているものだけに固定する。

その制限の中で、見直し1で絞った1か所だけを直す。制限は不自由に見えて、判断を減らして手を動かす時間を返してくれます。

この時期の練習の組み立て方は、毎日の練習メニューの記事も参考になります。やることを足すのではなく、絞ることが限界の時期の正解です。

外の目を入れるタイミング

独学を続けるためにこそ、借りたほうが早い場面があります。

3つの見直しをやっても抜けない場合があります。目安になるのは、止まっている場所が1つに絞れない時です。

ドラムもコードもメロディも全部が原因に見える、あるいは何が分からないのかが分からない。この状態は、切り分け自体を一人でやるのが難しくなっています。

ここが、人に見てもらう価値が出る境界線です。作りかけの曲を聞ける人が聞けば、欠けている工程の特定は短時間で終わります。

独学をやめてスクールに全部を預けるという二択ではなく、切り分けと順番の整理だけ外の目を借りて、制作は独学で続けるという形もあります。学び方の選び方は本と動画の使い分けの記事でも扱っています。

そしてもう一つ。限界を感じるところまで独学で来たこと自体が、DAWを操作でき、曲の形を作れるようになった証拠です。ここから必要なのは、やり直しではなく、工程の欠けを埋める順番だけです。その全体像は、下の制作工程マップに1枚でまとめてあります。

限界に見える症状と実際の原因

左の症状に心当たりがあれば、右から直します。

限界に見える症状実際の原因見直し先
曲が途中で必ず止まるドラム・コード・メロディのどれかが欠けている3か所の切り分け
作業しても曲が進まない完成形を決めずに細部を触っている今日のゴールを先に決める
何を学べばいいか分からない情報過多で判断が渋滞している入力を止めて1か所に絞る
どの曲も同じに聞こえるテンポ・進行・リズムの型が固定化1要素だけ意図的に変える
止まる場所が特定できない切り分けを一人で抱えている外の目を借りる

よくある疑問

独学の限界を感じたらスクールに行くべきですか

すぐに決めなくて大丈夫です。まず止まっている場所をドラム、コード、メロディのどれかまで絞ってみてください。1か所だけなら記事や動画で解けることが多いです。複数の工程で同時に止まっていて、何から手を付けるか自体が分からない状態なら、人に順番を整理してもらう価値が出てきます。

教材を買い足せば限界を越えられますか

買い足しで解決することは少ないです。行き詰まりの原因はたいてい情報不足ではなく、今の自分に必要な部分を選べていないことにあります。手持ちの教材から今止まっている1か所に関する部分だけを拾い直すほうが先です。

作った曲が全部同じに聞こえます。これも限界ですか

限界ではなく、作り方が固定されてきたサインです。いつも同じテンポ、同じコード進行、同じドラムの組み方で作っていないかを見てください。どれか1つを意図的に変えるだけで、曲の印象は大きく変わります。

何年やっても限界を感じない人と何が違うのですか

多くの場合、止まった時に原因を工程で特定する癖があるかどうかの差です。限界という言葉で全体をまとめず、どの作業のどの判断で手が止まったかまで分解できる人は、同じ壁でも小さい課題として越えていけます。

アンパンマン劇場版関連楽曲を手がけた作曲家の、無料の制作工程マップ

限界の正体は、たいてい工程の欠けです。音出し、コード、ドラム、メロディ、アレンジ、フルコーラス完成までの流れを1枚にまとめました。登録するとその場でご覧いただけます。

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古賀稔宏のプロフィール写真

プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。