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古賀稔宏の作曲ノート作曲・編曲家のDTM制作ノート

コードからメロディを作る方法

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作曲・編曲家 古賀 稔宏

「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。

コード進行を4小節鳴らせるようになったのに、その上に乗せるメロディが1音も出てこない。ここで止まる人の多くは、いきなり完成したメロディを思いつこうとしています。ですが、コードが先にある状態なら、メロディは思いつくものではなく、1音ずつ当てはめていくものです。

当てはめる順番は、コードの構成音(コードトーン)を1小節に1つ置く、その音を高さを変えずに刻む、隣の音を経過音として1つずつ足す、の3段階です。足した音がコードと合っているかの見分け方と、合わなかった時の直し方まで扱います。鼻歌から作る手順は鼻歌からメロディを作る方法に譲ります。

先にやること

コードからメロディを作る時は、コードトーンを置いてから1音ずつ足します。

  • 各小節のコードトーンから1音選び、4小節に4音の骨組みを作る
  • 骨組みの高さは変えず、長さと刻みだけでリズムにする
  • 骨組みの間に、隣の音を短い経過音として1つずつ足す
  • 拍の頭で長く鳴っている音がコードトーン以外なら、そこを疑う

コードが先にあると乗せやすい理由

選べる音が最初から決まっているので、迷う範囲が狭くなります。

レッスンでは、メロディが乗せられないという人に、先にコード進行を決めてもらいます。コード進行があれば、そこに合う音を探して1つずつ当てはめていけるからです。白紙に向かうのと、4つのコードが並んだ上に向かうのとでは、選べる音の数がまるで違います。

コードは3つの音でできています。Cならド・ミ・ソ、Amならラ・ド・ミ、Dmならレ・ファ・ラ、Gならソ・シ・レです。この3音をコードトーンと呼びます。コードが鳴っている間、そのコードトーンはどれを長く伸ばしても濁りません。

つまり、各小節に安全な音が3つずつ用意されている状態です。メロディ作りの第1段階は、この3つから1つ選ぶだけの作業になります。閃きは要りません。

逆に言えば、コードが決まっていない状態でメロディを探すのは、安全な音が分からないまま音を置くことです。合っているかどうかを毎回耳で確かめる必要があり、そこで疲れて止まります。コードを先に決めるのは、作曲の順番の好みではなく、確認の手間を減らす手順です。

コードトーンを1小節に1つ置く

4小節なら4音。まだメロディには聞こえなくて正解です。

C→Am→Dm→Gを例にします。各小節のコードトーンから1つ選び、小節の頭に置いて、小節いっぱい伸ばします。4小節で4つの音です。

どの音を選ぶかの目安は、前の小節の音から近い音を選ぶことです。1小節目のCでミを選んだら、2小節目のAmにもミがあるので、そのまま同じミを使えます。3小節目のDmには、ミの隣のファがあります。4小節目のGには、ファの隣のソがあります。ミ・ミ・ファ・ソ、これで骨組みです。

2小節目で同じミを使えたのは、CとAmがミを共有しているからです。隣り合うコードに共通するコードトーンがあれば、音を動かさずに済みます。動かさない音があると、メロディに軸ができます。

別の選び方もあります。1小節目にソ、2小節目にミ、3小節目にファ、4小節目にレ。こちらは上下に動く骨組みです。どちらが正しいということはなく、鳴らして好きなほうを残します。ただし、この段階で4音とも大きく跳ぶ選び方は避けます。あとで経過音を足す時に、埋める隙間が広すぎて音の数が増えすぎます。

4音を置いたら、コードと一緒にループ再生します。退屈に聞こえますが、それで構いません。ここで確かめるのは、4音のどれも濁っていないことだけです。コードトーンから選んでいれば、濁ることはありません。

高さを変えずに刻む

4音の高さはそのままで、長さと回数だけを変えます。

※ 以下の3本は、このサイトで合成した説明用の音です。コード進行は3本とも同じで、上のメロディだけが変わります。

①で置いた4音は、②でも③でも1つも動かしていません。足したのは刻みと隣の音だけです。

① 骨組み各小節にコードトーンを1音(4音)

4音とも、その小節のコードトーンです。長く伸ばしても濁りません。

② 刻む高さは①のまま、長さと回数を変えた(12音)

高さは①と同じです。伸ばしていた1音を短い音の連打と長い音に分けただけで、歌える形に近づきます。

③ 経過音を足す骨組みの間に隣の音を短く(20音)

骨組みと骨組みの間に、隣の音を短く挟みました。①の4音は同じ位置に残っています。

条件:BPM 90/4小節/キーC/このサイトで合成したピアノ。3本とも同じ音量で書き出しています。

骨組みのピアノロール。各小節に長い音が1つずつ置かれている
① 骨組み。各小節の頭に、コードトーンが1つずつ。
経過音を足したピアノロール。骨組みの音の周りに短い音が並んでいる
③ 経過音を足した後。①の音は同じ位置に残り、その間に短い音が入っています。

②から③へ進む時に足したのは、1小節あたり2〜3音です。一度に全部足さず、1音足しては鳴らす、を繰り返してこの形になっています。

骨組みができたら、次は刻みます。1小節伸ばしていたミを、たとえば短いミを3つと長いミ1つに分けます。高さは変えません。変えるのは長さと回数だけです。

音源②で分かるように、これだけで急にメロディらしくなります。人の耳は、高さの変化より先に、長短のパターンを言葉のように聞き取るからです。

刻み方に迷ったら、口で言える形にします。「タン・タ・タ・ターン」のように声に出せるリズムを、そのまま4音に当てはめます。小節ごとに同じ刻みにしても構いませんし、4小節目だけ長く伸ばして区切りを作っても構いません。

この段階で守ることは1つです。高さを動かさないこと。刻みながら高さも変え始めると、次の経過音の段階で、どの音が骨組みだったか分からなくなります。

経過音を1つずつ足す

骨組みと骨組みの隙間を、隣の音で階段にします。

経過音とは、2つのコードトーンの間を通り過ぎる音です。たとえば1小節目のCで、ミから同じCのソへ動く時、間にファを短く入れます。ファはCのコードトーンではありませんが、ミとソの間を通り過ぎるだけなので、濁って聞こえません。

足す場所は、隙間が空いている所です。ミからソのように音が1つ飛んでいる所には、間の音が1つ入ります。4小節目のソから次の周の1小節目のミへ戻る所には、ファが入ります。骨組みの4音が隣同士なら、その間には足せないので、小節の中で同じコードの別のコードトーンへ動いてから足します。

足し方の決まりは2つです。1つは、短く、拍の裏に置くこと。経過音を拍の頭に長く置くと、通り過ぎずに居座ってしまい、コードとぶつかります。もう1つは、1つ足したら鳴らすこと。1音足して、ループで聞き、良ければ次の1音を足します。

止めどきは、骨組みが埋もれ始めた時です。①の4音がどこにあったか聞き取れなくなったら、足しすぎです。最後に足した音を消します。音源③は1小節に2〜3音を足した状態で、これより多いと骨組みが見えにくくなります。

経過音は、キーCの白鍵から選びます。黒鍵の音は、この手順ではまだ使いません。白鍵の隣の音だけで、メロディの階段は十分に作れます。

合わない音の見分け方

拍の頭で長く鳴っている音がコードトーンかどうかを見ます。

経過音を足していくと、どこかで「濁った」「引っかかった」と感じる音が出てきます。見分け方は、その音をコードと一緒に長く伸ばしてみることです。伸ばして濁るなら、その音はそのコードの上で長く鳴らせない音です。

目で見つける目安もあります。ピアノロールで、拍の頭にあって、長さが長い音を探します。その音がコードトーンでなければ、疑います。Cの小節で、拍の頭にファやレが長く置かれていたら、そこが濁りの正体です。

同じファでも、拍の裏に短く置いてあれば問題ありません。合う合わないは、音の名前だけでは決まらず、置き方で決まります。ファはCの上で、経過音としては合い、長く伸ばすとぶつかります。

もう1つ、小節をまたぐ所を見ます。3小節目のDmで気持ちよく鳴っていたファを、4小節目のGまで伸ばしていると、Gの上では濁ります。コードが変わる場所で、前の小節の音が食い込んでいないかを確かめます。

迷ったら、その1音だけをミュートして聞き比べます。消して濁りが消えれば、その音が原因です。原因の音が1つ特定できれば、直し方は次のとおり順番に試せます。

合わない音の直し方

消す前に、短くする・ずらす・隣へ動かすの順で試します。

合わない音が見つかっても、いきなり消しません。その音を選んだ理由は、そこで上がりたい、下がりたい、という流れがあったからです。流れを残したまま直す方法を、影響の小さい順に試します。

  1. 短くする。拍の頭に長く置いていた音を半分の長さにして、後ろに次のコードトーンを置きます。居座っていた音が通り過ぎる音に変わります。
  2. ずらす。音の高さはそのままで、位置を拍の裏へ移します。拍の頭には隣のコードトーンが来るようにします。
  3. 隣へ動かす。高さを1つ上か下のコードトーンへ移します。Cの上のファなら、ミかソへ動かします。上がる下がるの向きは変わりません。
  4. 下のコードを変える。メロディのその音をどうしても残したい時だけ、小節のコードを、その音をコードトーンに持つものへ差し替えます。Cの上でファを伸ばしたいなら、その小節をFかDmにします。

4番目は最後の手段です。コードを変えると、前後の流れも変わるので、確認する範囲が広がります。多くは1〜3番で直り、その順番なら骨組みを崩さずに済みます。

直したら、その小節だけでなく4小節を頭から通して聞きます。1音の直しが、前後の流れを変えていることがあります。直す前と直した後を続けて聞き、流れが残っていれば完了です。

同じメロディでも、下のコードが変わると聞こえ方が変わります。4番目の直し方は、この性質を使っています。合わない音を消すのではなく、コードの側を動かして合わせる。この選択肢があると知っておくと、気に入った音をあきらめずに済みます。

音の3種類と扱い方

名前ではなく、位置と長さで種類が決まります。

種類どんな音置き方長く伸ばしたら
コードトーンその小節のコードの構成音3つ拍の頭に、長く置いてよい濁らない
経過音コードトーン同士の間にある隣の音短く、拍の裏に濁る。短くするかずらす
ぶつかる音拍の頭で長く鳴っているコードトーン以外の音そのままにしない短くする、ずらす、隣へ動かす、コードを変える、の順で直す

同じファが、Cの上では経過音にもぶつかる音にもなり、Fの上ではコードトーンになります。種類を決めるのは音の名前ではなく、どのコードの上で、どの位置に、どの長さで鳴っているかです。作ったメロディにドラムとベースを重ねて曲の形にしていく順番は、無料の制作工程マップに沿って進められます。

よくある疑問

コードトーンだけで作ったメロディが退屈です

骨組みの段階では退屈で正解です。高さを変えずに刻んでリズムを付け、そのあと隣の音を経過音として1つずつ足します。退屈さは、音の高さではなく刻みと経過音で解消します。

経過音はいくつまで足していいですか

目安は1小節に2〜3音です。骨組みの4音がどこにあったか聞き取れなくなったら足しすぎなので、最後に足した音を消します。1音足すごとに鳴らして確かめると、足しすぎる前に止まれます。

コードと合わない音はどう見分けますか

拍の頭で長く鳴っている音が、その小節のコードトーンかどうかを見ます。コードトーン以外なら、その1音をミュートして聞き比べ、濁りが消えればそれが原因です。同じ音でも、拍の裏に短く置いてあれば合います。

合わない音は消すしかありませんか

消す前に、短くする、拍の裏へずらす、隣のコードトーンへ動かす、の順で試します。それでも残したい音なら、その音をコードトーンに持つコードへ、下のコードを差し替えます。

コードの「床」を、先に用意しておく

C・Am・Dm・G の4小節ループMIDIと、90秒ワンコーラスの下地を無料でお送りしています。鳴らしながら鼻歌を乗せていけば、メロディを探す作業がぐっと楽になります。

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コードトーンから組み立てたメロディに、ドラムと展開を重ねて1曲の流れへ広げます。

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プロフィール

古賀 稔宏

ギター、ウクレレ、DTM(Cubase)、作曲技法、音楽理論を指導。14歳でギターを始め、同時に作曲も始める。ポップ、ロック、クラシックの要素を含む楽曲を得意とする。

商業音楽の制作・演奏に携わりながら、初心者が止まりやすい場所を制作工程に沿って整理している。

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