間奏の作り方|DTMで歌やメロディを休ませる場所

作曲・編曲家 古賀 稔宏
「それいけ!アンパンマン」劇場版関連楽曲の作曲・編曲、Do As Infinity関連楽曲、アニメ楽曲、滝沢歌舞伎BGMなど、商業音楽の制作・演奏に携わる。
1番のサビが終わった。さて間奏。ここで手が止まる人は多いです。歌の続きは作れるのに、歌がない区間になった途端、何を鳴らせばいいのか分からなくなります。
間奏は、ゼロから新しい曲を作る場所ではありません。役割を知り、長さを先に決め、すでにある素材を使い回す。この順番で考えると、初心者でも数十分で形になります。役割、長さの目安、3つの作り方、失速した時の直し方、そして間奏を入れなくてよい場合まで、順に整理します。
先に見ること
間奏は新しく発明せず、すでにある素材の使い回しから考えます。
- 役割は「歌を休ませる」と「次への助走」の2つ
- 長さは4〜8小節から始める
- 最初の選択肢はイントロの再利用
- 盛り下がったらドラムと低音が残っているか見る
間奏の役割は2つある
休ませることと、助走を作ることです。
間奏とは、歌と歌のあいだに入る、楽器だけの区間のことです。1番のサビと2番のあいだに入るものが代表的です。
役割の1つ目は、歌を休ませることです。歌い手が息を整える時間であると同時に、聞き手の耳を休ませる時間でもあります。
サビまで盛り上がった状態のまま2番の歌詞が始まると、聞き手は情報を受け取り続けることになり、疲れます。楽器だけの区間が数小節あるだけで、次の歌がまた新鮮に聞こえます。
役割の2つ目は、次のセクションへの助走です。間奏の終わりは、2番の入り口につながっています。
間奏の最後の1〜2小節で音数を減らしたり、フレーズを下降させたりして「次が来るぞ」という予感を作ると、2番が自然に始まります。
この2つを言い換えると、間奏は「休憩所」と「連結部」を兼ねた区間です。かっこいいソロを聞かせる場所、という発想から入ると難しくなりますが、休ませてつなぐ場所と考えれば、必要な音は意外と少なくて済みます。
長さの目安は4〜8小節
迷ったら短いほうに倒します。
初心者がまず試す長さは4小節です。テンポ120の4拍子なら、4小節は約8秒。
休憩と助走という役割を果たすには、これで十分なことが多いです。
物足りなければ8小節に伸ばします。ただし同じ4小節を2回繰り返すだけだと、聞き手は2周目の途中で飽きます。
8小節にするなら、前半4小節と後半4小節で内容を変えます。前半は楽器のフレーズを聞かせ、後半は音数を減らして2番への助走にする、という分け方が扱いやすいです。
逆に、16小節を超える間奏は初心者には勧めません。歌ものの聞き手は歌を待っています。
歌のない区間が長く続くほど、戻ってくる理由が必要になり、難易度が上がります。長い間奏に挑むのは、4小節の間奏で曲を最後まで完成させた後で十分です。
長さを決めるのは、中身を作る前です。先に「ここから4小節が間奏」と枠を置いてしまえば、あとはその箱を埋める作業になります。
枠を決めずに弾き始めると、終わりどころを失って延々と伸びていきます。
作り方の3パターン
全部、すでにある素材から作れます。
1つ目は、イントロの再利用です。いちばん簡単で、失敗しにくい方法です。
イントロのフレーズをそのまま間奏の位置にコピーします。曲の看板フレーズがもう一度出てくると、聞き手は「この曲だ」と安心します。
市販の曲でも、イントロと間奏が同じ曲はたくさんあります。コピーした後、最後の1小節だけ2番へつながる形に変えれば完成です。
2つ目は、コード進行だけ残して楽器を替える方法です。サビやAメロのコード進行をコピーし、その上で鳴っていた楽器を差し替えます。
歌が乗っていた場所にピアノを置く、パッドだったところをギターにする、という具合です。土台が同じなので曲から外れず、それでいて響きは新しく聞こえます。
3つ目は、メロディ楽器にソロを渡す方法です。ギター、シンセ、ピアノなど、主役になれる楽器を1つ選び、間奏のあいだだけ歌の代わりを任せます。
ソロと言っても速弾きは要りません。まず歌のメロディをその楽器でなぞり、後半で少しだけ崩す。
これだけで、ソロらしい間奏になります。歌えるフレーズが元になっているので、外れにくいのも利点です。
どのパターンでも、判断の軸は同じです。レッスンで使っている判断メモに「フルコーラスは1コーラスを貼り付けるだけでは完成しない。2番、間奏、ラストで、残すものと変えるものを分ける」というものがあります。
間奏も、全部を新しくするのではなく、コードやフレーズは残し、楽器や音数を変える。残す側があるから、変えた側が効きます。
3パターンの使い分け
下に行くほど自由度が上がり、難しくなります。
| パターン | 作業量 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| イントロを再利用 | コピーして終わりだけ直す | 初めての間奏。イントロにフレーズがある曲 |
| コードを残して楽器を替える | 進行コピー+音色差し替え | イントロが短い曲。雰囲気を変えたい時 |
| 楽器にソロを渡す | フレーズを1本作る | 主役級の楽器がある曲。聞かせ場が欲しい時 |
間奏で失速する典型と対策
原因はだいたい土台か主役のどちらかです。
典型の1つ目は、ドラムとベースまで止めてしまうことです。歌が休むからといって伴奏まで全部休ませると、曲の推進力が消えます。
上の楽器を入れ替えても、ドラムとベースの土台が走り続けていれば、勢いは保てます。静かな間奏にしたい場合でも、キックだけは残す、ベースだけは残す、と土台の一部を残します。
2つ目は、主役がいないまま伴奏だけが流れることです。歌が抜けた穴をそのままにすると、カラオケの伴奏を聞いているような区間になります。
間奏では、歌の代わりに耳を引く主役を1つ決めます。ソロでもイントロのフレーズでも構いません。
主役が1つあれば、聞き手の耳は迷いません。
3つ目は、新しい素材を詰め込みすぎることです。間奏を聞かせ場だと思うと、新しいコード、新しいリズム、新しい音色を一度に入れたくなります。
結果、そこだけ別の曲のようになり、2番に戻った時につながりが切れます。新しくするのは1つの要素だけにして、残りは1番までの素材を使います。
4つ目は、単純に長すぎることです。8小節作ったのに間延びする時は、まず前半の4小節だけに切って通して聞いてみます。
短くしただけで解決することは多いです。直す順番としては、長さ、土台、主役の順に見ていくと迷いません。
間奏がなくてもいい場合
入れない判断も、立派なアレンジです。
すべての曲に間奏が要るわけではありません。2分前後の短い曲や、勢いで最後まで駆け抜けるタイプの曲では、間奏を挟むとかえって流れが切れます。
サビから直接2番に入る市販曲も珍しくありません。
間奏なしで2番に入る場合は、2番の頭で音数をぐっと減らします。
- ドラムをハイハットだけにする
- 伴奏をベースと1楽器だけにする。
歌は続いていても、音の密度が下がることで、聞き手の耳には休憩として働きます。間奏の「休ませる」役割を、2番の頭が肩代わりする形です。
デモ段階の曲も、無理に間奏を作る必要はありません。歌の流れを先に固めて、間奏は後から差し込むほうが、必要な長さと中身を判断しやすくなります。
間奏用に4小節の空白だけ確保しておけば、後から埋めるのは簡単です。
迷ったら、間奏なし版を一度書き出して通しで聞いてみてください。物足りなければ4小節足す。
十分ならそのまま進む。曲全体のどこで休ませてどこで盛り上げるかは、1曲を通しで組み立てる工程の話なので、全体の流れは制作工程マップで確認しながら進めると迷いにくくなります。
よくある疑問
間奏は必ず必要ですか
必須ではありません。短い曲や勢いで聞かせる曲なら、2番の頭で音数を減らすだけでも休みは作れます。迷ったら間奏なしで通して聞き、物足りなければ足します。
間奏の長さは何小節がいいですか
最初は4小節、長くても8小節が目安です。8小節にする場合は前半と後半で内容を変えて、単調にならないようにします。
間奏のメロディが思いつきません
新しく作らなくて大丈夫です。イントロをもう一度使うか、歌のメロディを楽器でなぞるところから始めると外れにくくなります。
間奏で曲が盛り下がってしまいます
ドラムとベースまで止めていないかを先に確認します。土台のリズムと低音が残っていれば、上の楽器を入れ替えても勢いは保てます。
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